帯状疱疹

2022年4月08日『中国網医療報道』
「帯状疱疹の好発する季節が到来。中医ではどのように治療するか」
又到带状疱疹高发季,中医是怎么治疗的?


中国では春は帯状疱疹の好発する季節とみなされているようです。

西洋医学の研究を読むと、タイでは3月にピークを迎えるようですが、アメリカでは8月、日本でも2月から増え始めて8月がピークのようです。

わたしも最近、某鍼灸院で湿疹の鍼灸を初診の患者さんに要望され、実際にみてみると帯状の疼痛と発疹があり、「皮膚科を先ず受診してください」とお伝えしたところ、やはり帯状疱疹でした。このような事例があった場合、西洋医学と東洋医学の両方から知識をアップデートすることにしています。

帯状泡疹は、中医学では纏腰火丹(てんようかたん)といいます。
清代の『医宗金鑑』では、纏腰火丹を肝経と心経の火では竜胆瀉肝湯、脾経と肺経の湿熱では胃れい湯、肝火妄動では柴胡清肝湯と分類していました。

現代中国では、以下の共通認識が発表されています。

2016年「帯状疱疹後神経痛の診療における中国の専門家の共通認識」
带状疱疹后神经痛诊疗中国专家共识
中国疼痛医学杂志,2016年03期
※「鍼治療、オゾン治療は臨床で一定の効果がある」

2019年7月16日
「鍼は帯状疱疹後神経痛の効果的な治療か。システマティックレビューとメタアナリシス」
Is acupuncture an effective postherpetic neuralgia treatment? A systematic review and meta-analysis
J Pain Res. 2019 Jul 16;12:2155-2165.

以下、引用。

【結論】
鍼は帯状疱疹後神経痛の患者の疼痛の強さを弱めて不安を緩和し、QOLを改善するかもしれない。より大規模なランダム化試験と方法論的質の高い試験が確証に必要である。

帯状疱疹に対してはアシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルがありましたが、
2017年にヘリカーゼ・プリマーゼ複合体の阻害薬として、富山大学の白木公康教授が開発したアメナメビルが認可されていました。これはアップデートの部分です。

「高齢者のウイルス感染症の現状と対策 1.帯状疱疹」
浅田 秀夫
『日本老年医学会雑誌』2021 年 58 巻 1 号 p. 48-53

また、2017年に帯状疱疹ワクチンが認可されています。これもアップデートの部分でした。

「特集:ウイルス感染症ワクチンの最前線 帯状疱疹ワクチン」
渡辺 大輔
『ウイルス』2018 年 68 巻 1 号 p. 21-30
(全文オープンアクセス)

臨床のたびにアップデートしていく必要性をあらためて感じました。

「COVID-19ワクチン接種後に帯状疱疹を発症した8例」
今井 俊輔, 志水 陽介, 吉田 憲司, 石河 晃
『日本皮膚科学会雑誌』2022 年 132 巻 3 号 p. 487-490

わたしは1回目ファイザー、2回目ファイザー、3回目モデルナで、副作用を我慢しながら3回目ワクチン接種も既に終えています。ロング・コビットが怖いからです。

一方で、「COVID-19ワクチン接種後に帯状疱疹」は海外でも多数、報告されており、帯状疱疹疑いの患者さんを診る際には、頭のスミには入れたほうが良い気がします。これもアップデートです。

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