アメリカ国家安全保障戦略とテクノロジカル・デカップリング

 
2022年10月13日『フィナンシャル・タイムズ』
「バイデン大統領はアメリカが中国のライバル関係で決定的な10年に直面していると警告する」
Joe Biden warns US faces ‘decisive decade’ in rivalry with China
 
 
習近平主席が3期目の続投を決め、同時に中国ゼロコロナ政策の継続が明確になりました。
 
 
2022年10月14日『共同通信』
『中国は来春まで「コロナゼロ」政策を継続する方針』
 
そして、アメリカ政府は5年前のトランプ政権以来の新しい国家安全保障戦略を発表しました。
 
以下、引用。
 
(アメリカ国家安全保障戦略)文書は、アメリカが技術的にも、経済的にも、政治的にも、軍事でも、インテリジェンスでもグローバル・ガバナンスにおいても、中国を打ち負かすための行動をすることを述べている。
 
 
10月13日の『フォーリン・ポリシー』の記事がその意味を端的に述べています。
 
 
2022年10月13日『フォーリン・ポリシー』
 
バイデンはいま、中国排除にオール・イン(カジノのチップの全賭け)している。
端的には、アメリカの制限論者(テクノロジー・デカップリングを加速しようとしているゼロ・サム主義者)は、バイデン政権での戦略ディベートに勝利したということだ。
 
 
アメリカは中国からの留学を制限し、半導体輸出において「チップ4」という台湾・韓国・日本・アメリカの4国同盟をつくり、技術輸出を制限しようとしています。
 
アメリカは軍事的にもインド・オーストラリア・日本・アメリカの4か国同盟、クアッドを中心に、自由民主主義と資本主義という共有価値をもった海洋国家で中国を封じ込めようという戦略をとっています。海洋国家「シーパワー」による大陸国家「ランドパワー」の封じ込め戦略です。
 
インターネット世界は分裂しつつあります。
 
2010年にグーグルが中国から撤退し、中国では検索エンジン「百度」やSNS「ウィーチャット」が急速に発達しました。
 
ロシアは2013年から2015年あたりでクリミア半島の併合から完全にインターネット世界を閉ざしていきました。ロシアではヤンデックス、カスペルスキー、ロシアSNSの「ヴェーカー」SNS「テレグラム」を急速に発達させていきます。
 
2022年現在、中国やロシアの正確な情報をインターネットから得ることは非常に困難になっています。
 
アメリカ政府がテクノロジカル・デカップリングという戦略をとることを明らかにした以上、今後5年間の情報収集と分析の戦略は変化せざるをえないわけです。
 

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