むずむず脚症候群における鍼の効果

2021年10月
「レストレス・レッグス症候群のマネージメントにおける鍼の効果:システマティックレビューとメタ・アナリシス」
Effectiveness of acupuncture in the management of restless leg syndrome: a systematic review and meta-analysis
Cheng Huang et al.
Ann Palliat Med. 2021 Oct;10(10):10495-10505.
https://apm.amegroups.com/article/view/82101/html

以下、引用。

含まれている研究の全体的な質は低かったが、このメタアナリシスの結果は、鍼灸がむずむず脚症候群の効果的な治療選択肢であることを示唆した。

むずむず脚症候群は、英語圏では「エクボム・シンドローム(Ekbom syndrome)」と呼ばれます。1945年に、スウェーデンの神経科医、カール・エクセル・エクボムが報告しました。
中国語では不寧腿綜合症です。

西洋医学的には、貧血や鉄欠乏、ドパミンとの関連が指摘されています。

研究史としては、2008年にコクランシステマティックレビュー「むずむず脚症候群の鍼」で「むずむず脚症候群の症状を治療するのに鍼治療を用いることを支持するエビデンスは十分ではない」と発表されています。

日本神経治療学会から「標準的神経治療:Restless legs 症候群」が出版されています。

2012年「標準的神経治療:Restless legs 症候群」
(オープンアクセス)
※鍼治療についてコクランレビューの引用があります。

2017年にイラン医科大学がランダム化比較試験を行っています。

2017年「むずむず脚症候群の鍼の評価:ランダム化比較試験」
Evaluation of Acupuncture in the Treatment of Restless Legs Syndrome: A Randomized Controlled Trial
Gholam RezaRaissi
Journal of Acupuncture and Meridian Studies
Volume 10, Issue 5, October 2017, Pages 346-350

2019年
「冷えの改善を伴ったレストレスレッグス症候群の鍼灸治療の一症例」
飯田 藍, 鮎澤 聡, 櫻庭 陽
『全日本鍼灸学会雑誌』2019 年 69 巻 3 号 p. 210-216

2021年5月の台湾の研究は、指圧がむずむず脚症候群の重症度を減らすことを指摘しています。

2021年「血液透析患者のむずむず脚症候群の重症度への指圧」
Acupressure reduces the severity of restless legs syndrome in hemodialysis patients: A cluster-randomized crossover pilot study
Li-HungTsai
Biomedical Journal Available online 21 May 2021

むずむず脚症候群で興味深いのは、漢方で滋陰降火湯や黄連解毒湯、桂枝茯苓丸などの症例が報告されていることです。鉄剤の著効例も症例報告されており、機序を考える際に参考になる印象があります。

2015年「レストレスレッグス症候群に滋陰清熱の治療が奏効した二症例」
大前 隆仁, 松川 義純, 山本 修平, 武原 弘典, 西森(佐藤) 婦美子
『日本東洋医学雑誌』2015 年 66 巻 4 号 p. 307-310

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