ロング・コビットと前皮神経絞扼症候群

2022年6月21日
『「全身が鉛で押しつぶされるよう…」謎多き“コロナ後遺症” 「死にたいと思う」重い症状が改善した治療とは』

以下、引用。


2022年1月に感染が判明した小学生の男の子(11)。40度ほどの発熱が治まった後、原因不明の腹痛が続くようになった。
男の子はACNES(アクネス)、前皮神経絞扼症候群という病気だと診断された。
腹壁を通る神経の一部が何らかの障害を受けて強い痛みを引き起こす病気で、悪化すれば歩けなくなる人もいる。
男の子は痛みがある4カ所の神経を切除した。

前皮神経絞扼症候群 (アクネス)は絞扼神経症候群です。

腹直筋にあるトリガーポイント注射で消失することで臨床的診断がされることがあります。

2013年 英国外科雑誌
「前皮神経絞扼症候群のトリガーポイントへのリドカイン注射臨床試験のランダム化比較試験」
Randomized clinical trial of trigger point infiltration with lidocaine to diagnose anterior cutaneous nerve entrapment syndrome
O B A Boelens et al.
Br J Surg. 2013 Jan;100(2):217-21.

以下の日本の症例報告では、天枢穴あたりの圧痛点とカーネット徴候陽性により診断している症例が日本語でビデオ動画で見ることができます。

マクギーのフィジカル診断学原著第4版 [ 徳田安春 ]』の訳者であり、『身体診察 免許皆伝』の著者である和足孝之先生の論文です。

2019年12月2日『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル症例報告』
「前皮神経絞扼症候群」
Anterior cutaneous nerve entrapment syndrome
Takashi Watari
BMJ Case Rep. 2019; 12(12): e232765.
Published online 2019 Dec 2.

2017年には前皮神経絞扼症候群(ACNES)の類似概念としての腰痛である後皮神経絞扼症候群(POCNES)が提案されています。

2017年
「後皮神経絞扼症候群(POCNES)による慢性腰痛:新しい診断」
Chronic Localized Back Pain Due to Posterior Cutaneous Nerve Entrapment Syndrome (POCNES): A New Diagnosis
Oliver B Boelens et al.
Pain Physician. 2017 Mar;20(3):E455-E458.

この概念は鍼灸の臨床でものすごく有用だと思います。

2022年3月に和足孝之先生が『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』で報告されています。

2022年3月2日
「後皮神経絞扼症候群(POCNES)の病歴と身体診察の診断」
Diagnosis of posterior cutaneous nerve entrapment syndrome through history and physical examination
Takashi Watari
BMJ Case Rep. 2022 Mar 2;15(3):e248661

これこそ身体診察の最前線だと思います。

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