視診における耳のしわ問題

2022年8月12日医学雑誌『キュリアス(Cureus)』
「診断における耳垂のシワ、耳珠前のシワ、耳輪シワの統一された解剖学的説明」
Unified Anatomical Explanation of Diagonal Earlobe Creases, Preauricular Creases, and Paired Creases of the Helix
https://www.cureus.com/…/106724-unified-anatomical-explanat…

基本的な知識として、西洋医学の分野で耳たぶのシワは「フランク徴候」と呼ばれ、狭心症・心筋梗塞のマーカーである可能性が高いというメタアナリシスが存在します。

わたしは耳鍼を最初に邵輝先生に教わった際に、フランク徴候を教わりました。海外の耳鍼の文献ではフランク徴候について書かれていることが多いです。

2015年「耳たぶのシワ:循環器動脈疾患のマーカー?」
Ear lobe crease: a marker of coronary artery disease?
Aris P. Agouridis,et al.
Arch Med Sci. 2015 Dec 10; 11(6): 1145–1155.
Published online 2015 Dec 11

※「最近のメタ分析は、耳たぶのシワ(ELC)が循環器動脈疾患(CAD)のマーカーであるという仮説を支持している」

以下、引用。

フランク徴候(DELC:耳たぶのシワ)は他の耳のシワよりも長く研究されてきた。近代西洋医学では50年前に報告されたが、ほんとうは西洋医学では数千年前にさかのぼる。最も古いフランク徴候のエビデンスは、ローマ皇帝ハドリアヌスの胸像であり、両側の耳にフランク徴候があり、ハドリアヌスは心臓疾患で死亡している。 

フランク徴候の有病率は加齢とともに増加し、フランク徴候と心血管代謝障害との関連性が報告されていることの説明として仮説が立てられており、単純に皮膚の老化の兆候である可能性がある。

フランク徴候は認知機能の低下とも関連していたが、これは上記のように加齢に伴うフランク徴候の有病率の増加と認知機能の低下によって説明される可能性がある。

わたしが診た80代のフランク徴候の男性患者さんは、フランク徴候の発見の一年後に心臓の手術を受け、軽度の認知症も併発していたことを思い出しました。

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