【BOOK】『Travell & Simons’ Myofascial Pain and Dysfunction』

 
2018年
「トラベル、サイモンズ&サイモンズのマイオフェーシャル・ペイン・&ディスファンクション」
J.M.Donnelly
C.Fernandez-De-Las-Penas
Wolters Kluwer2018/02/28
 

 
オランダのヴァルタース・クルーワーから出版されています。アメリカの老舗の医学出版社、リッピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンスはオランダ企業のヴァルタース・クルーワーの所有です。
 
トリガーポイントの概念をつくったジャネット・トラベル先生が、1983年にデビッド・サイモンズと共著で、『トリガーポイントマニュアル』を、アメリカのウィリアムズ・アンド・ウィルキンス社から出版しました。1992年と1994年に日本のエンタプライズ出版社から翻訳が出ています。
 

 
 
1983年「マイオフェーシャル・ペインと機能障害:トリガーポイントマニュアル」
Myofascial Pain and Dysfunction, Vol. 1: The Trigger Point Manual, The Upper Extremities Hardcover – June 1, 1983
Janet Travell , David Simons
Williams & Wilkins (June 1, 1983)
 
 
ジャネット・トラベル先生は1998年に亡くなり、デビッド・サイモンズ先生と奥さんのロイス・サイモンズさんがウィリアムズ・アンド・ウィルキンス社から『トリガーポイントマニュアル第2版』を出版しました。
 
この第2版ではデビッド・サイモンズ先生の提唱した1999年に「エネルギー危機仮説」の考え方が入っています。
 
 
1999年
「マイオフェーシャル・ペインと機能障害:トリガーポイントマニュアル第2版」
Myofascial Pain and Dysfunction, The Trigger Point Manual, 2nd Edition. (2 Volumes).
David G. Simons, Janet G. Travell, and Lois S. Simons.
Williams & Wilkins,1999
 
 
現在はジャン・ドマーホルツ先生の提唱したトリガーポイント「拡張統合仮説」がトリガーポイント理論の中心です。
 
 
2004年「トリガーポイント形態のサイモンズとの統合仮説の拡張」
An expansion of Simons’ integrated hypothesis of trigger point formation
Jan Dommerholt, et al.
Curr Pain Headache Rep. 2004 Dec;8(6):468-75.
 
 
1990年にオランダのヴァルタース・クルーワーがアメリカの老舗、リッピンコット社を買収し、さらにリッピンコット社が1998年に出版社、ウィリアムズ・アンド・ウィルキンスを合併してリッピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンスとなります。
そういった経緯で、2018年にトラベル、サイモンズ&サイモンズのマイオフェーシャル・ペイン・&ディスファンクションはヴァルタース・クルーワーから出版されたようです。
 
 
2018年に第3版の「トラベル、サイモンズ&サイモンズのマイオフェーシャル・ペイン・&ディスファンクション」が出版されたときは、『トリガーポイントマニュアル』の第3版が出版されたというので驚きました。ジャネット・トラベル先生もデビッド・サイモンズ先生もずいぶん前に亡くなっていたからです。
 
 
こういった人名を冠した医学専門書は、腰痛の分野では菊池臣一先生の師匠で腰痛の権威であるイアン・マクナブの名前を冠した『マクナブ腰痛』が有名です。
1999年に日本の医歯薬出版社から『Macnab腰痛第3版』として翻訳が出版され、わたしも読みました。
 
現在の第4版である〝Macnab’s Backache, 4th ed(マクナブ腰痛第四版)〟は2007年にヴァルタース・クルーワーから出版されましたが、16年が経過しても誰も日本語訳しないので、もう『マクナブ腰痛』は日本語では出ないですね。英語で、しかも電子書籍で読むことになると予測します。
 
 
日本の整形外科分野では、神中正一先生の『神中整形外科学 改定23版』が2013年に出版されています。神中正一先生は、股関節手術(論文「股関節形成術の日本 の歴史」参照)、手術器具エレバトリウムの創案、日本において最初に斜角筋症候群の発表を行ったことなどが業績として挙げられています。
 

 
 
英語圏では、ハリソンの名前を冠した「ハリソン内科学(Harrison’s Principles of Internal Medicine)」があり、2022年に第21版が出版されました。日本語では「ハリソン内科学第21版」が2022年4月に出版されています。
 
トリガーポイント理論は、1990年代から日本においてアップデートされていないのは大きな問題だと思います。

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