中医学と言論の自由と『北京中医薬条例』

2022年8月29日
「中国の医療情報サイト『丁香医生』が禁止された理由:中医学の長く続く論争について」
丁香医生为何被禁:关于中医的漫长争议

2022年8月9日に、中国の医療情報サイト『丁香医生』が中国のインターネットで削除・閲覧禁止となりました。

2022年4月1日からの中国政府の上海ロックダウン政策における予防薬としての中成薬『蓮花清瘟』の配布を批判したためです。

それ以外にも、2018年の鴻茅薬酒事件でも、『丁香医生』は中医学を批判していました。内モンゴル自治区の内蒙古鴻茅国薬股份有限公司がつくった鴻茅薬酒は67種類の生薬が入って、中医学的には「風湿をのぞき、補気通絡し、舒筋活血し、健脾温腎する」効能があると広告しています。しかし、2004年から2017年にかけて飲んだ人が嘔吐や腹痛を訴えました。

西洋医師の譚秦東さんが鴻茅薬酒を批判する記事を発表したところ、広州市から逮捕されて連行されて、内モンゴル自治区で3ヶ月拘留され、しかも逮捕されたとき警察官に内モンゴルの薬酒の会社の社員が同行していたそうです。西洋医師や中国の科学者、香港の人権派弁護士、知識人たちが猛烈な抗議活動を行い、譚秦東先生はなんとか釈放されました。

2018年4月26日には、自然科学雑誌『ネーチャー』が痛烈に中国政府の中医学政策を批判する記事を発表しました。

2018年4月26日『ネーチャー』
「中国の西洋医師は、中医学の薬を批判したために3カヶ月投獄されて釈放されたー弁護士や医師はこのために中医薬に関して科学的議論を沈黙させられている」
Chinese physician released after 3 months in jail for criticizing a traditional medicine:Lawyers and physicians fear the case could silence scientific debate on traditional remedies.

2020年6月には、中国政府が『北京中医薬条例』の草案を発表しました。

以下、引用。

中医学を批判する意見を取り締まる法律が制度化されている。2020年6月に『北京中医薬条例』の草案が交付され、その規定では中医学を誹謗中傷し、公序良俗に反し、公共の秩序を混乱させ、治安管理の違反があれば公安警察によって処罰され、犯罪となり、刑事責任を追及されるとされている。

習近平が権力を握って以来、習近平は中国伝統文化の重要作用を強調し、中医学への支持を隠していない。

2017年には『中国日報』に『中医学には習近平という大ファンがいる』という記事が掲載された。

中医学が表舞台に登場してから、反対意見の弾圧は多くなった。この弾圧は中国政府と中医資本の共謀と考えられている。

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