2018年9月30日 ワルシャワ医科大学
「早期卵巣不全：病因病理学・疫学・診断評価」
Premature ovarian insufficiency – aetiopathology, epidemiology, and diagnostic evaluation
Ewa Rudnicka,et al.
Prz Menopauzalny. 2018 Sep; 17(3): 105–108.
Published online 2018 Sep 30
早期卵巣不全とは、40歳以前に卵巣機能が停止し、閉経してしまう状態です。
以下、引用。
「早期卵巣不全」という言葉を用いた最初の症例報告は、1942年のフラー・アルブライトによるものである。
1942年9月フラー・アルブライト
「原発性卵巣機能不全と身長の低下を特徴とする症候群：腋毛と陰毛のホルモン制御の逸脱を伴う11例の報告」
A SYNDROME CHARACTERIZED BY PRIMARY OVARIAN INSUFFICIENCY AND DECREASED STATURE: Report of 11 Cases With a Digression on Hormonal Control of Axillary and Pubic Hair
F. Albright et al.
The American Journal of the Medical Sciences
Published 1 November 1942
以下、2018年ワルシャワ医科大学の論文より引用。
【環境因子】
最近のメタアナリシスでは、環境汚染と毒物は早期卵巣不全で役割を果たしていることを導き出している。卵巣にとって複数のものが破壊的である。物質としては、ビスフェノールA、多環芳香族炭化水素、ポリ塩化ビフェニール、殺虫剤、ダイオキシン、ゲニステイン、タバコの煙がある。それにも関わらず、タバコの煙以外の早期卵巣不全への環境への影響は証明されていない。
多環芳香族炭化水素(PAH)は大気汚染と関連しており、現在、人体への影響が日本を含む世界中で研究されています。
中国では、1970年代に人口の1～2パーセントだった不妊の人口が現在、12パーセントから18パーセントで、30年で10倍になっています。
日本でも、若い世代で不妊治療を受けている人は激増している印象があります。世界的な男性の精子の激減、若い世代での不妊症の世界的激増をみている限り、情報収集と分析の必要性を感じます。
2017年『エンバイロメンタル・ヘルス』
「早期卵巣不全の病因の可能性のある環境汚染物質：動物実験と人間データのナラティブレビュー」
Environmental pollutants, a possible etiology for premature ovarian insufficiency: a narrative review of animal and human data
Pauline Vabre et al.
Environ Health. 2017; 16: 37.
Published online 2017 Apr 7.
2014年
「早発卵巣不全・早発閉経に関する諸問題」
宮崎薫et al
『日本生殖内分泌学会雑誌』19 15-19, 2014
インターネット上で無料で読める日本語論文で、良質で臨床に役立つ知識が載っているのが上記論文です。卵巣刺激療法は臨床では行われますが無効なことが多く、エビデンスもありません。
2022年4月1日
「早発卵巣不全の補完代替医療：利用とメカニズムのレビュー」
Complementary and Alternative Medicine for Premature Ovarian Insufficiency: A Review of Utilization and Mechanisms
Yang Fu et al.
Complementary and Alternative Medicine in Reproductive Endocrine Diseases 2021
Published online 2022 Apr 1.
以下、2022年4月1日論文より引用。
【鍼治療】
3カ月後、Zhouらのグループの研究者たちは、早期卵巣不全の患者を房繄恭の鍼の方法で治療し、FSH、AМH、AFCが調節され卵巣機能が改善するという効果が増えることを発見した。【電気鍼治療】
卵巣に対する電気鍼の保護的効果は、卵巣顆粒膜細胞に対する抗アポトーシス因子Bcl-2をアップレギュレーションし、プロ・アポトーシス因子Baxをダウンレギュレートするかもしれない。