薬物中毒に対する鍼の双方向治療

2022年9月21日『韓医新聞』
「薬物中毒に対する鍼の双方向の治療機序の共有」
약물중독 대한 침 치료의 양방향 치료기전 ‘공유’

韓国・大邱韓医大学の研究者がScience Advancesに発表した薬物中毒の鍼の機序研究の共有です。

2019年
「鍼治療は弓状核から側坐核へのエンドルフィン作動性入力の活性化を通じてアルコール依存を軽減する」
Acupuncture attenuates alcohol dependence through activation of endorphinergic input to the nucleus accumbens from the arcuate nucleus
SUCHAN CHANG et al.
SCIENCE ADVANCES4 Sep 2019Vol 5, Issue 9

2021年には、韓国・大邱韓医大学の研究者たちがレビュー論文を発表しています。

2021年7月
「薬物中毒の治療における鍼治療の双方向の役割」
Bidirectional role of acupuncture in the treatment of drug addiction
Mi YoungLee
Neuroscience & Biobehavioral Reviews
Volume 126, July 2021, Pages 382-397

以下、引用。

精神疾患に関する鍼の実験はほとんどないが、いくつかの動物実験の結果は鍼が海馬の神経炎症を抑制し、神経可塑性に必要な海馬プロテインの増加をもたらすエビデンスを提供している。

上記レビュー論文を一読して、画期的だと感じました。
わたし自身、デパスやハルシオンなどの薬物中毒の減量に長期の鍼治療が効果的だった症例を経験しており、「薬物中毒に対して、鍼は一定の効果がある」と感じています。

特に2021年韓国論文のディスカッションの部分の「中毒のインセンティブ感作理論」と「相反モティベーション過程理論」を統合した双方向調節理論を提出したのがクリエイティブです。

これはパーキンソン病の不安症状の緩和や他の鍼の治効機序とも絡み合い、非常に勉強になる記事でした。

わたしが鍼の治効機序の研究にもとめているのは、この臨床的な実感を説明してくれる仮説です。

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