日本の医療産業の崩壊と外資化 

 
 
2023/05/17『アークタイムズ』
 
 
日本の医薬産業の現状について非常に鋭い分析だと思います。
 
大阪は江戸時代には、アジアを代表する都市でした。人形浄瑠璃・文楽の近松門左衛門など文学レベルは高く、医学も近松門左衛門の実弟、岡本一抱が『鍼灸抜粋大成』など大量の鍼灸文献・東洋医学文献を出版します。
 
江戸時代の大阪は世界初の先物取引市場をつくり、文字通りアジア最大の経済・文化セクターでした。鍼灸のレベルも、ずっと大阪がトップでした。
 
漢方ももちろん、江戸時代から続く道修町の製薬メーカー『武田薬品』は江戸時代に和漢薬メーカーとして創業され、一時期は世界一の製薬メーカーでした。日本の製薬産業は世界の製薬産業の中心の一つでした。
 
しかし現在、日本の健康医薬品産業は没落の一途をたどり、医薬品だけで4.6兆円の貿易赤字となっています。この日本の健康医薬品産業の没落は、大阪の製薬メーカーの没落と関連しているというのが児玉龍彦先生の分析です。
 
世界史からみても、数百年も東アジアの文化・経済の中心都市だった大阪が政治的判断のミスで、ものすごいスピードで没落したことが日本全体に大きな影響を与えたのだと思います。
 
健康産業は現在、世界的に成長産業となっており、日本は国民健康保険に基づく最良のデータをもちながら、それらは外資系メーカーにのみメリットをもたらしているというのが児島龍彦先生の分析です。
 
判断ミスを30年間繰り返しているマネジメント層の情報収集、情報分析、戦略立案の能力低下の現実を直視し、草の根レベルからシステムをみなおしていくしかない印象があります。
 

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