2026年4月22日 『ヨーロピアン・メディカル・ジャーナル』
Acupuncture May Ease Chemotherapy Nausea
「鍼は化学療法の吐き気を緩和するかも知れない」
以下、引用。
乳がんは世界中の女性において最も一般的な悪性腫瘍の一つであり、化学療法は術前補助療法、術後補助療法、進行期治療のいずれにおいても中心的な役割を果たし続けている。しかしながら、化学療法による吐き気や嘔吐は依然として患者の約70~80%に影響を及ぼす可能性があり、その影響は不快感にとどまらず、栄養失調、代謝障害、治療への恐怖、治療遵守率の低下などにも及ぶ。
本レビューでは、病理学的に乳がんと診断された成人女性を対象に、中等度または高度の催吐性化学療法を実施している症例についてランダム化比較試験を評価する。分析対象となる介入には、手鍼、電気鍼、耳介指圧、火鍼、温鍼、皮内鍼、腹部鍼、指圧、およびこれらの手技の組み合わせが含まれる。比較対象としては、偽鍼またはプラセボ鍼、従来の制吐薬療法、およびその他の鍼治療法を用いる。
2026年4月21日
Acupuncture Therapies for Chemotherapy-Induced Nausea and Vomiting in Patients With Breast Cancer: Protocol for a Systematic Review and Network Meta-Analysis
「乳がん患者における化学療法誘発性悪心・嘔吐に対する鍼治療:システマティックレビューおよびネットワークメタアナリシスのプロトコル」
Yutao Luo et al.
JMIR Res Protoc. 2026 Apr 21:15:e86384.
2025年9月12日
Stimulation of the wrist acupuncture point PC6 for preventing postoperative nausea and vomiting: a network meta‐analysis
「術後悪心・嘔吐予防のための手首のツボ『内関(PC6)』:ネットワークメタアナリシス」
Anna Lee et al.
Cochrane Database Syst Rev. 2025 Sep 12;9(9):CD003281.
著者らの結論: ネットワークメタアナリシスによると、侵襲的および非侵襲的な内関(PC6)と制吐剤の併用は、偽刺激と比較してPON(術後悪心)およびPOV(術後嘔吐)を軽減し、おそらく緊急時の制吐剤使用量も減少させる可能性がある。
術後の悪心・嘔吐への内関への鍼のランダム化比較試験は鍼灸EBМ革命をもたらしました。
イギリス北アイルランドの麻酔科医、ジョン・ダンディーが1986年の『英国医師会雑誌』に「伝統中国鍼灸:使える制吐剤?」という比較試験の論文を発表しました。わずか2ページですが、婦人科手術への内関への5分間の置鍼で75例を対象として、プラセボ群よりも鍼群のほうが改善していたというものです。
1986年「伝統中国鍼灸:使える制吐剤?」
Traditional Chinese acupuncture: a potentially useful antiemetic?
Dundee JW, Chestnutt WN, Ghaly RG, Lynas AG.
Br Med J (Clin Res Ed). 1986 Sep 6;293(6547):583-4.
1987年にジョン・ダンディーが英国医師会雑誌(BMJ)に発表した以下の論文は、1/3ページという短さです。
1987年「がん化学療法における制吐剤の最適化」
Optimising antiemesis in cancer chemotherapy.
Dundee JW, Ghaly RG, Fitzpatrick KT, Lynch G, Abram P.
Br Med J (Clin Res Ed). 1987 Jan 17;294(6565):179.
1987年、ジョン・ダンディーはランセットにも癌患者の化学療法のシスプラチンに関連した吐き気について内関への鍼通電を発表しました。
1987年「シスプラチンに関連した吐き気の予防のための鍼」
Acupuncture to prevent cisplatin-associated vomiting.
Dundee JW, Ghaly RG, Fitzpatrick KT, Lynch GA, Abram WP.
Lancet. 1987 May 9;1(8541):1083.
1989年、ジョン・ダンディーは英国王立医学会誌に、癌患者の化学療法の吐き気に対して内関への鍼通電を行った論文を発表しました。
1989年「がん化学療法による病状への鍼による予防」
Acupuncture prophylaxis of cancer chemotherapy-induced sickness.
Dundee JW, Ghaly RG, Fitzpatrick KT, Abram WP, Lynch GA.
Department of Anaesthetics, Queen’s University of Belfast.
J R Soc Med. 1989 May;82(5):268-71.
英政府から大英帝国勲章を授与された麻酔科医であるジョン・ダンディーという権威ある存在が、引退直前に『英国医師会雑誌』『ランセット』『英国王立医学会雑誌』という権威ある雑誌に次々と論文を発表したのが決定打でした。10年ほどおくれて1997年に米国立衛生研究所(NIH)が鍼の効果に科学的根拠を認めましたが、ジョン・ダンディーによる内関の悪心・嘔吐へのランダム化比較試験の研究が決定的な影響を与えました。米国立衛生研究所は「鍼の効果の科学的機序は不明だが、鍼の臨床効果には科学的根拠がある」という声明文を出し、そこから世界の鍼の歴史が変化していきました。
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