疼痛の「プラセボ効果」による緩和のメカニズムに関する『ネーチャー』論文


2024年7月24日『メディカル・エクスプレス』
「神経科学者は疼痛緩和のプラセボ効果の脳のサーキット回路を発見した」
Neuroscientists discover brain circuitry of placebo effect for pain relief


以下、引用。

プラセボ効果は実在する。これは何十年も前から知られており、実際の観察や、研究者が多くの病気や症状、特に痛みについて考案した最良の二重盲検ランダム化臨床試験で確認されている。しかし、プラセボ効果がどのように、なぜ発生するのかは謎のままである。現在、神経科学者はプラセボ効果のパズルの重要なピースを発見した。

ノースカロライナ大学医学部の研究者らは、スタンフォード大学、ハワード・ヒューズ医学研究所、アレン脳科学研究所の同僚らと共同で脳の前部にある帯状皮質から脳幹の橋領域を経て脳の後部にある小脳に至る疼痛制御経路を発見したとネイチャー誌に発表した。

科学者たちは、マウスが痛みの緩和を期待すると前帯状皮質前部のニューロンが痛みや痛みの緩和においてこれまで機能が確立されていない橋核に信号を投射することを発見した。そして、痛みの緩和の期待がこの経路に沿った信号を増強することを発見した。

科学者たちは、小脳の大きな枝のような細胞の独特なクラスであるプルキンエ細胞が痛みの緩和を期待しているときに前帯状皮質ニューロンの活動パターンに似た活動パターンを示すことを発見した。シェラー氏とシェラー研究室の博士研究員で第一著者のチョン・チェン医学博士は、これは認知的痛み調節における小脳の役割に関する細胞レベルの証拠であると述べた。



2024年7月24日『ネーチャー』
「プラセボ鎮痛の神経回路基盤」
Neural circuit basis of placebo pain relief
Chong Chen et al.
Nature (2024)Published: 24 July 2024

プラセボ効果の脳神経回路の研究では、小脳との関連を指摘したのはこの研究が最初だと思います。

従来の研究では、プラセボ効果は下降性痛覚抑制系やオピオイド受容体と関連しており、ナロキソンでプラセボ鎮痛に拮抗できるなど、鍼の効果とそっくりなのです。エッアート・エルンストが「鍼はプラセボ」というレトリックを使うわけです。しかし、それは2010年代の古い知識に基づくものです。


2015年『ネーチャー・レビュー・ニューロサイエンス(Nature Reviews Neuroscience)』
「プラセボ効果の神経科学:コンテクスト、学習、健康とのコネクティング」
The neuroscience of placebo effects: connecting context, learning and health
Tor D. Wager
Nat Rev Neurosci. 2015 Jul; 16(7): 403–418.

複数の研究が、プラセボ鎮痛がオピオイド拮抗のナロキソンでブロックできることを示している。

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