大腸腑の臓腑弁証

 

大腸腑の弁証論治は文献によってまちまちです。

世界保健機構(WHO)のICDー11では、以下の4つになっています。

1.大腸実熱
2.大腸湿熱
3.大腸液虧
4.大腸虚寒

これは大腸病を虚実寒熱と燥湿で分類しています。

1.Large intestine excess heat pattern(大腸実熱パターン)
A pattern characterized by constipation or dry stool with difficulty in defecation, abdominal distension and tenderness on palpation, hematochezia, deep-colored urine, yellow and dry tongue coating, or rapide strong pulse. It may be explained by excess heat factor obstructing the bowel qi.

大腸実熱
症状:腹痛胀急,甚则里急后重,便泻黄糜,或有粘液,身热口渴舌象、脉象:脉滑数,苔黄

 

2.Large intestine dampness heat pattern (大腸湿熱パターン)
A pattern characterized by abdominal distention and pain, profuse diarrhea which may be malodorous or bloody, painful straining during bowel movement, a burning sensation in the anus, fever, thirst, decreased urine output, brownish urine, a greasy, yellow tongue coating, or a slippery, rapid pulse. It may be explained by an accumulation of the environmental factors of dampness and fire in the large intestine system or impaired qi movement.

大腸湿熱
主要临床表现为腹痛,下利赤白脓血,里急后重;或暴注下迫,色黄而臭,或腹泻不爽,粪质粘稠腥臭。伴有肛门灼热,小便短赤,身热口渴,舌红苔黄腻,脉滑数或孺数。

 

3.Large intestine fluid deficiency pattern(大腸液損パターン)
A pattern characterized by constipation or difficulty in defecation accompanied by dry throat and red tongue with scanty saliva and yellow dry coating, and thready rough pulse. It may be explained by yin deficiency affecting intestinal system function.

大腸液虧
症见便秘或排便困难,兼见消瘦、皮肤干燥、咽干,舌红苔少,脉细。可见于老年性便秘或习惯性便秘。治宜润肠通

 

4.Large intestine deficiency cold pattern(大腸虚寒パターン)
A pattern characterized by abnormal bowel evacuations, abdominal dull pain, aversion to heat and pressure, diarrhea, coldness of limbs, increased bowel sounds, inhibited defecation, pale tongue with a thin white watery coating or a deep, slow pulse. It may be explained by yang qi deficiency in the large intestine system leading to cold.

大腸虚寒
虚寒性泄泻。症见下利稀薄,完谷不化,便次增多,兼见食少、四肢冷、腰酸、怕冷,苔白润,脉沉迟。多与脾肾虚寒有关。

 

 

中医学の文献によっては大腸虚、大腸実、大腸熱、大腸寒の4種類に分類しているものもあります。

大肠虚证
主要临床表现:久泻不止,大便不禁,肛门滑脱,食少神疲
舌象、脉象:脉细弱,舌淡苔薄白
治疗:补益大肠,涩肠固脱,取足太阴、阳明及任脉经穴为主,针以补法,重灸

大肠实证
主要临床表现:大便秘结,或下痢不爽,腹痛拒按
舌象、脉象:脉沉实有力,苔黄厚
治疗:行气通腑,取手足阳明经穴为主,针用泻法,不灸

大肠寒证
主要临床表现:腹痛肠鸣,大便泄泻
舌象、脉象:脉沉迟,舌苔白滑
治疗:散寒止泻,取本腑募穴、下合穴,针灸并用

大肠热证
主要临床表现:腹痛胀急,甚则里急后重,便泻黄糜,或有粘液,身热口渴
舌象、脉象:脉滑数,苔黄
治疗:清利湿热,取本腑募穴、下合穴、手足阳明经穴,针以泻法,不灸

 

 

これは清代、江涵暾著、『笔花医镜』 では巻二、大肠部(手阳明属腑)が参考になります。

大腸虚の者は気虚である。右尺脈はかならず沈脈弱脈となり、その症状は慢性下痢であり、脱肛をなす。

大腸実の者は胃実の移熱である。右尺脈は必ず洪脈実脈となり、その症状は便秘で臓毒をなし、乾燥・煩渇すれば譫語発狂し、腸廱をなす。

大腸寒の者は積冷である。右尺脈は必ず沈脈遅脈となり、その症状は慢性下痢であり、血便となる。

大腸熱の者は肺経移熱が多い。右尺脈は必ず数脈となり、その症状は血便で腸風をなし、脱肛をなす。

 

『笔花医镜』 の大腸虚、大腸実、大腸寒、大腸熱はシンプルです。

 

唐代の『備急千金要方』大肠虚实第二では「大腸実熱」と「大腸虚寒」に分類しています。

大腸実熱:右寸口気口以前の脈が陽実のものは手陽明大腸経である。腸満してよく喘咳に苦しむ、顔面が赤く、身熱し、のどにタネのようなものが詰まる、これを大腸実熱という。大腸兪に灸を49壮する。大腸有熱なら腸鳴・腹満して臍痛となり、消化不良となり、喘息して立つことができない。上巨虚がこれを主る。

大腸虚冷:右手寸口気口以前の陽脈が虚なら手陽明である。胸中喘に苦しみ、腸鳴し虚渇し、唇が乾燥し、めまいがしてよく白い下痢をすれば大腸虚冷である。承満に50壮灸する。

腸中が常に鳴り、ときに心に上衝するなら臍中に灸する。腹中雷鳴し、大便不節で小便が赤いまたは黄色なら陽綱が主る。

腹脹して腸鳴して、気が上衝して胸をつき、立つことができない、腹中は痛み、冬に寒邪にあたると下痢し、臍が痛み、胃腸の間で痛みが動き、消化不良となり、食欲がなく、身体が腫れて、臍周りが痙攣するのは天枢が主る。

腸鳴して痛むのは、(手陽明大腸経の郄穴)温溜が主る。

 

唐代の『備急千金要方』の大腸実熱と大腸虚寒は右寸口の脈診で、清代の『笔花医镜』 の大腸虚、大腸実、大腸寒、大腸熱は右尺中の脈診なのでかなり違います。

大腸湿熱は『丹渓心法』『医宗金鑑』『張氏医通』などに断片的な言葉としてはありました。大腸液虧は古典にそのままの表現を見つけることができませんでした。大腸の臓腑弁証はどのような漢方を処方するのでしょうか。どのような鍼灸を処方するのでしょうか。

 

 

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