LED光治療の概要

 

「NASAが発見した整形外科領域の現在のアプリケーション」
A NASA discovery has current applications in orthopaedics.
Cotler HB.
Curr Orthop Pract. 2015 Jan;26(1):72-74.

この2015年論文はウィスコンシン大学のハリー・ウィーラン教授による低レベルレーザー治療の研究を2015年1月にまとめたものです。

NASAは最初、宇宙空間での植物の成長を促進するために赤色LEDをあて、それで成長の促進を観察して宇宙飛行士の筋肉骨格に680nm.、730nm.、880nm.の波長をもつLED光を1度照射しただけで筋肉細胞におけるDNA合成が5倍になりました。アメリカ海軍の特殊部隊『ネービーシールズ』で訓練中の負傷兵にLEDを使ったときも、回復率が40%以上も向上しました。
2002年には米国立衛生研究所(NIH)と、国防総省の研究部門であるアメリカ国防高等研究計画庁(DARPA)がハリー・ウィーラン教授に資金を提供したことでも大きな話題になりました。DARPAはインターネットを発明した機関として有名です。

 

LED光治療がなぜ効くのかはまったくわかっていません。ハリー・ウィーラン教授はミトコンドリアによる解糖を助けると言い、他の研究者は一酸化窒素に働きかけると言い、諸説はありますが証明が無いのです。

 

アメリカのFDAは医師やセラピスト(鍼灸師ラインセンスド・アキュパンクチャリスト含む)がLLLT(低レベルレーザー治療)を使うことに認可を与え、ヨーロッパではスポーツセラピストが10年以上LLLTを使っています。2008年にはアメリカ整形外科学会は手根管症候群のLLLTにはエビデンスがあることを認めています。

 

「NASAが発見した整形外科領域の現在のアプリケーション」
A NASA discovery has current applications in orthopaedics.
Cotler HB.
Curr Orthop Pract. 2015 Jan;26(1):72-74.

この論文ではLLLTの効能を以下にように述べています。

LLLTのターゲットは
L:リンパ管の浮腫と炎症を減少する。
I:創傷部位の治癒を促して炎症を減少する。
N:神経を鎮痛させる。
T:トリガーポイントで筋けいれんを減少させる。」
The four common targets for LLLT are:
L – lymph nodes to reduce edema and inflammation.
I – site of injury to promote healing and reduce inflammation.
N – nerves to induce analgesia.
T – trigger points to reduce muscle spasms.

 

LED光治療はリンパの浮腫を減らしコラーゲンやエラスチンの再生を促す作用があります。筋骨格系だけでなく美容領域にも効果があると思われます。2015年にはアメリカ退役軍人省が湾岸戦争症候群の治療にLED光治療を行っています。LED光治療はアメリカの鍼師(ラインセンスド・アキュパンクチャリスト)が臨床応用しているかなり面白い領域だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

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