コロナウイルス感染症の後遺症

 

2020年1月31日『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』
「アメリカでの最初の新型コロナウイルス症例」
First Case of 2019 Novel Coronavirus in the United States
Michelle L. Holshue, M.P.H et al.
New England Journal of Medicine

2020年1月19日、35歳のワシントンの男性が受診、武漢に旅行歴があり、4日間、咳をしていました。発熱は37.2℃でした。ワシントンのCDCに連絡し、1月20日にrRT-PCRの検査を行いました。悪心・嘔吐、軟便を報告しています。アセトアミノフェンとイププロフェンの大量投与、バンコマイシンとセフェピム(セファロスポリン系抗生物質)の投与を受けましたが、改善の徴候がありません。

 

ギリアド・サイエンシズ社の抗ウイルス薬、レムデシビルの投与を受けて改善し、まだ入院しており、咳は残っているが深刻な状態は脱したようです。

 

ちょうど2020年1月31日の『ウォール・ストリート・ジャーナル紙』にギリアド・サイエンシズ社が中国新型コロナウイルス感染症にレムデシビルを供給することを発表しており、週明けの株価は変動しそうです。

2020年1月31日『ウォール・ストリート・ジャーナル紙』
「ギリアド・サイエンシズ社は、コロナウイルスの治療試験に実験薬を提供する」
Gilead Sciences Offers Experimental Drug for Coronavirus Treatments, Testing
https://www.wsj.com/…/gilead-sciences-offers-experimental-d…

 

このアメリカの症例は咳が残っています。今後は後遺症が問題になると予測します。

2020年1月6日
「SARSはまだ終わっていない…深刻な後遺症に苦しむ人々―中国」
https://www.recordchina.co.jp/b38601-s0-c60-d0000.html

※骨壊死・肺線維症(肺の硬化や萎縮)・抑うつなどはSAR治癒患者に見られる典型的な後遺症である。治癒後数日~数か月後に呼吸困難・視力低下・四肢(とくに股関節)の激痛などに見舞われ、彼らの多くが就労能力を失ってしまう。

 

コロナウイルス感染症であるSARSの後遺症の多くはステロイド大量投与のための骨粗鬆症や重度の鬱やPTSD、それとコロナウイルス肺炎による肺繊維症のようです。仝小林先生は急性期のSARSを漢方で治療しましたが、SARS患者のステロイド後遺症も漢方で治療されています。

「仝小林教授にきく/SARS治療におけるステロイド剤と中医学」
『中医臨床』 通巻97号(Vol.25 No.2)2004年6月

2020年1月31日
『治愈病例会不会二次感染?有没有后遗症?国家卫健委回应』
https://wap.eastmoney.com/ne…/info/detail/202001311368751896
「对轻症的患者应该没有后遗症,但是对于重症患者,可能在一段时间内会遗留一定的肺的损害,比如肺纤维」

昨日の中国政府・国家衛生健康委員会の見解では、軽症では後遺症が残らないが、重症では肺繊維症のような肺損傷が残る可能性を指摘しています。

 

 

中国でも、コロナウイルスによるSARSの肺繊維症の治療は試みられています。

2003年「SARS肺繊維化の中西医結合による治療のレビューと臨床特徴の分析」
中西医结合治疗SARS所致肺纤维化疗效总结及其临床特点的分析
张纾难
《中国全科医学》 2003年07期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-QKYX200307031.htm

 

 

2009年「SARSコロナウイルス と肺繊維症」
SARS Coronavirus and Lung Fibrosis
Wei ZuoXingang ZhaoYe-Guang Chen
Molecular Biology of the SARS-Coronavirus pp 247-258
24 October 2009
https://link.springer.com/chap…/10.1007/978-3-642-03683-5_15
(全文オープンアクセス)

サイトカイン過剰で肺の組織にコラーゲンや細胞外マトリックスが過剰となり、繊維化して固くなり収縮できなくなりますが、TGF-βが重要な役割を果たしています。

 

 

2003年
「艾灸によるSARS回復期9例の治療の臨床観察」
艾灸治疗SARS恢复期9例临床观察
赵宏 李以松 刘兵 李军 王石 花宝金 田丛豁
《中国针灸》 2003年09期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-ZGZE200309038.htm

※采用艾灸大椎、膏肓俞、足三里穴并配合中西药物治疗
※结果 :艾灸治疗后 ,低热、胸闷、乏力、头身酸痛、胸腹胀痛、纳呆、便秘等症状明显改善

現状では、灸がSARS後遺症の疲労倦怠感、痛みや食欲不振、便秘など消化器症状に使用されたことが報告されています。

 

 

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