【新型コロナウイルス】英国とオランダの集団免疫戦略

 

 

2020年3月15日
「新型コロナ なぜ一斉休校しないのか? 英国の首席科学顧問がお答えします」

 

以下、引用。

ジョンソン首相は神妙な表情で「自分は英国民に対して正直でなければならない。より多くの家族が彼らの愛する人たちを失うことになる」と語りかけました。

イギリスは「封じ込め」フェーズから感染のピークを遅らせて山を低くする「遅延」フェーズに移行します。ピークは10~14週間後にやってくるとみています。

パトリック・ヴァランス政府首席科学顧問は「イギリスの実際の感染者は他国の検査数と陽性率を見ると5000人から1万人いるとみられます」と分析。もはや感染を止めるのは不可能なのでゆっくり感染して集団免疫を獲得すると明言しました。

免疫を持つ人が一定割合まで増え、感染を防ぐようになることを「集団免疫を獲得する」と言います。数理モデルをつくる英インペリアル・カレッジ・ロンドンのニール・ファーガソン教授のこれまでの発言を聞く限り、イギリスの集団免疫レベルの基本シナリオは60%とみられます。

来シーズンにはワクチンが開発されている可能性があるため、感染して自分で免疫を獲得した人とワクチン接種を受けた人の割合をコントロールしながら60%に持っていく戦略と筆者はみています。

しかし、それを国民向けの記者会見で公言するとは思ってもみませんでした。

今封じ込めすぎて感染のピークがNHS(国民医療サービス)の繁忙期である冬にやって来ると大変なので一番暇な夏に来るようにコントロールする目標まではっきり示しました。最悪シナリオの罹患率はドイツの70%を上回る80%に設定して実行計画を立てていると言います。

ヴァランス顧問によると、スポーツイベントなど大規模な集会より感染リスクが高いのは密閉空間での密接な会合だそうです。今、一斉休校をしない理由についてヴァランス顧問はユーモアを交えてこう説明しました。

休校の効果はあるものの最小限です。効果を上げるのは13~16週間以上の休校が必要になります。しかし子供に友達と会ってもダメ、おしゃべりしてもダメと言っても実行できる可能性はゼロであることぐらい最先端の数学者でなくても分かるでしょう。

ジョンソン首相は「一斉休校は効果より害の方が大きい」と説明しました。

フライト制限についても中国便を95%削減してもエピデミックを1~2日遅らすぐらいの効果しかなく、50%ぐらい減らすのがちょうど良いとの見方も示しました。「封じ込め」が破綻した今、イギリスは新型コロナウイルスにも「いい加減」に対処しようとしているようです。

イギリスは「一斉休校」も「フライト渡航制限」もしません。一斉休校の効果は最小限であり、休校が効果をあげるのは13〜16週間(4ヶ月以上)が必要であり、「効果よりも害の方が大きい」からだという説明です。さすがはEBMの国です。これこそが、科学的根拠に基づいた政策決定だと思いました。

 

しかし、パトリック・ヴァランス先生による「集団免疫」戦略を最初に採用した英国は猛批判を浴びて政治的に撤回しました。

 

 

2020年3月18日『南ドイツ新聞(S uddendeutche Zeit)』
「何千もの人命を費やす実験」
Ein Experiment, das Tausende Leben kosten könnte

 


オランダも集団免疫戦略を政府が公式に採用して、やはり「人体実験だ」「ハイリスクのギャンブルだ」と猛批判を浴びました。

オランダの公衆衛生政策のトップであるオランダ王立公衆衛生環境研究所のウイルス学者、ヴァン・ディーゼル先生によるものだそうです。

 

以下、引用。

最も強力な支持者はオランダ王立公衆衛生環境研究所のウイルス学者ヤップ・ヴァンディーゼルであり、われわれは問題の少ないもの(若者)を感染させることで、ウイルス感染を最小に抑えるとテレビで語った。

 

 

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