網膜色素変性症の鍼

 

「鍼は網膜色素変性症の治療に効果があるの?」
Is Acupuncture a Beneficial Treatment for Retinitis Pigmentosa?

 

以下、引用。

私たちはブラインドネス(盲目)と闘う財団にて鍼が網膜色素変性症の治療になりうるのかという疑問と取り組み、ジョンホプキンス大学のエヴァ・ビットナー眼科博士と中医眼科学の専門家であるアンディ・ローゼンファーブ免許鍼師ナチュロパシードクターとの協力でNIHアメリカ国立衛生研究所に資金提供された研究をおこなっている。

 


2013年「網膜色素変性症患者の視機能改善における鍼プロトコルのパイロット研究」
A pilot study of an acupuncture protocol to improve visual function in retinitis pigmentosa patients
Ava K Bittner, OD PhD, Andy Rosenfarb, ND LAc et al.
Clin Exp Optom. 2014 May; 97(3): 240–247.
Published online 2013 Oct 29.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4018735/

 

※12人の被験者のうち6人が有意な視機能の改善を示した。

※ツボは百会、神庭、印堂、太陽、攅竹から魚腰は電気刺激。球後と翳明は電気刺激。
四白(ST2)、風池(GB20)、耳の目1、目2、眼、肝。中かん(CV12)、気海(CV6)、天枢(ST25)、LI12(肘リョウ)、三間(LI3)、少府(HT8)、至陰(BL67)。曲泉(LR8)ー陰谷(KI10)、三陰交(SP6)ー復溜(KI7)、行間(LR2)ー太衝(LR3)の組み合わせを用いた。

 

 

2015年「網膜色素変性症の電気刺激による視機能と血流調整のランダム化比較試験」
Randomized Controlled Trial of Electro-stimulation Therapies to Modulate Retinal Blood Flow and Visual Function in Retinitis Pigmentosa
Ava K. Bittner, OD, PhD
Acta Ophthalmol. 2018 May; 96(3): e366–e376.
Published online 2017 Nov 11. doi: 10.1111/aos.13581
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5920686/

上記の論文は、非常に示唆的でした。動物実験では、電気刺激は神経栄養因子の産生を増加させ、網膜脈絡膜の血流を改善し、炎症サイトカインの働きを阻害し、ミクログリアの炎症効果を抑制してMuller細胞の神経栄養を強化すると考えられているようです。

 

「電気刺激は杆体細胞(Rod photoreceptor cell)の生体内での退行性変性を、ミクログリアの炎症効果を抑制して、Muller細胞の神経栄養を強化することで改善する」
Electrical stimulation ameliorates light-induced photoreceptor degeneration in vitro via suppressing the proinflammatory effect of microglia and enhancing the neurotrophic potential of Müller cells.
Zhou WT
Exp Neurol. 2012 Dec;238(2):192-208. doi: 10.1016/j.expneurol.2012.08.029. Epub 2012 Sep 10.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22974557

 

アメリカ、ニュージャージー州のアンディ・ローゼンファーブ先生は、デンマークのボエル鍼を取り入れたマイクロアキュパンクチャー48という新治療法を開発して世界中から網膜色素変性症患者を集めているようです。

これらの動物実験やヒトでの臨床試験、臨床報告を読む限り、網膜色素変性症への鍼の効果は有望だと感じました。血流を改善して全身の炎症を治療し、全身状態の改善をすれば、かなりの効果が期待できます。

 

 

 

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