アルゼンチン人の40パーセントが代替医療を選択している

 

2019年8月25日『ポピュラー』
「アルゼンチン人の40パーセントが代替医療を選択している」
El 40% de los argentinos elige medicina alternativa

 

アルゼンチンでは鍼、ホメオパシー、ナチュロパシーを選択する人が国民の40パーセントにのぼるという記事です。

 

以下、引用。

法的には、われわれの法律はこの種の治療(鍼・ホメオパシー・ナチュロパシー)を公的に認めておらず、社会的支払い(保険支払い)も認められていない。

 

 

アルゼンチンは医師にだけ鍼の施術を許す国です。日本の沖縄県から移住した相馬英樹先生が書かれています。アルゼンチンは日系人も多いです。

「世界の鍼灸コミューニケーション (12)アルゼンチンの鍼灸事情」
相馬 英樹
『全日本鍼灸学会雑誌』Vol. 49 (1999) No. 2 P 311-316

 

アルゼンチンで本格的に鍼をおこなったのは、1955年にフランスのドラフュイに学んだデビッド・サスマン先生です。

1955年にアルゼンチン鍼協会が組織されました。

「アルゼンチン鍼協会」
Sociedad Argentina de Acupuntura
http://saacupuntura.com.ar/

 

アルゼンチンでは2001年のNo. 997/2001という法律によって、医師と歯科医師にのみ鍼施術が規制されています。教育では名門、ブエノスアイレス大学が鍼の教育をおこなっています。

ブエノスアイレス大学
「鍼医学と関連テクニック」
Acupuntura médica y técnicas relacionadas
http://www.uba.ar/noticia/15698

 

アルゼンチン共和国は日本の裏側の謎の国です。タンゴ・アルヘンティーノ、サッカー、またはマドンナ主演の映画『エビータ』のエヴァ・ペロンとファン・ペロン大統領くらいしかイメージがありません。

 

アルゼンチンなど南米・中南米の歴史、あるいはフィリピンの歴史を読むと、現在の日本がかぶります。アルゼンチンは1945年以前は先進国であり、牛肉を大戦中のヨーロッパに売り、豊かな国でした。ところが今は新自由主義とポピュリズムの間を揺れ動く超格差社会であり、定期的に財政が破綻しています。

アルゼンチンの現状が理解できませんでしたが、ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン〈上〉――惨事便乗型資本主義の正体を暴く』という本を読んで、やっと理解できました。

 

 

当時のアメリカは、フォード財団とカトリック大学を中心にシカゴ・ボーイズと呼ばれるシカゴ大学出身の新自由主義経済学者を南米に売り込もうとしていました。そして新自由主義に反対する人たちに「左派」「共産主義者」とレッテル貼りをして、次々に誘拐して拷問、殺害しました。

これは、CIAが南米で展開した「コンドル作戦」としてウィキペディアにも載っています。アルゼンチンの場合は1976年ー1983年の「汚い戦争」で3万人の人々が拉致されて行方不明となりました。

 

1973年から民主主義国家チリではピノチェト将軍が軍事クーデターで軍政を敷き、反体制派を何万人も拷問、暗殺しました。反体制派の家に突然黒塗りのフォード自動車が止まり、若者を連れて行き、突然、行方不明となります。これは、スティングの『ダンス・アローン』やU2の『マザース・オブ・ディサピアート(母の嘆き)』などの曲にもなっています。アルゼンチンやチリで起きたことはCIAのコンドル作戦の一環だったことが最近、判明して、いまではアメリカ主導の新自由主義を入れるための『ショック・ドクトリン』であったことがわかっています。

 

「死の部隊」はアルゼンチンやチリだけでなく、ニカラグアやエルサルバドル、グアテマラでも人権派と考えられる人々を拉致、拷問、暗殺しています。すべてアメリカCIAの指導するコンドル作戦でした。目的はシカゴ学派の「新自由主義」経済学を入れて、国の財産を外国資本(アメリカ企業)に売り渡させることでした。

 

中南米は財政が破綻し、メディアを富裕層が支配する超格差社会です。メディアはアメリカ富裕層の価値観のみを反映しています。アメリカによる情報操作で軍政をもとめるファシズム右派と人権派や社会主義的なポピュリズムが対立し、一歩も前に進めない社会です。いまの日本との違いは死の部隊がないことだけです。

 

 

 

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