冬の養生と水克火:風寒と心痺

2018年10月28日『ニューヨークタイムス』
「寒く、風邪の強く、曇った日は、心臓麻痺のリスクが高くなる?」
Cold, Windy, Gray Day? Heart Attack Risk Is High

「JAMA Cardiology」10月24日に掲載されたスウェーデンのルンド大学の研究者たちによると、寒さや冷たい強風、日照時間の短さや気圧の低さなどが心筋梗塞リスク上昇と関連していることが判明しました。1998~2013年に心筋梗塞を発症した27万4,029人のスウェーデン人が対象なのでかなりの大規模調査です。

2018年10月24日『アメリカ医師会雑誌(JAMA)』循環器学
「冬と関連した循環器梗塞インシデント:スウェーデン心臓国家規模観察研究」
Association of Weather With Day-to-Day Incidence of Myocardial Infarction
A SWEDEHEART Nationwide Observational Study
Moman A. Mohammad, MD et al.
JAMA Cardiol. Published online October 24, 2018.
doi:10.1001/jamacardio.2018.3466

寒いと血管は収縮し、心臓は血液を送り出すために心筋に負荷がかかります。交感神経が緊張して動脈壁は硬くなり、緊脈(きんみゃく)、弦脈(げんみゃく)となります。

以下、ニューヨークタイムズから引用。

著者たちはいくつかの可能なメカニズムを提唱している。
インフルエンザは心臓発作と関連しているし、冬により多くなる。寒い冬の身体活動と食事も心臓の健康に影響するだろう。そして、冬うつも日照時間の減少によって起こり、それは心臓発作リスクを増大させる。

インフルエンザはまさに風寒です。

東洋医学では、風寒湿の三気がまじって入ると痺証となります。風邪による行痺、寒邪による痛痺、湿邪による着痺が代表的です。

冬の骨痺、春の筋痺、夏の脈痺、長夏の肌痺、秋の皮痺もあります。

五臓の痺証として肝・心・脾・肺・腎それぞれがありますが、心痺は以下になります。

心痺では脈が不通となり、心煩してイライラして動悸して、にわかに上気して喘して呼吸困難となり、むせてよくゲップする。厥気して上って恐れる。
『素問』痹论篇第四十三

現代中医学で脈痺、心痺は心脈痺阻証、または心血瘀阻証として理論的に整理されています。

東洋医学では、冬は水克火で寒邪は心陽を抑えこみます。
風寒湿の気が侵襲すると心痺となります。

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