【ナショナルジオグラフィック】『傷寒論』から生まれたPHY906

ナショナル ジオグラフィック日本版 2019年1月号』(2018年12月30日発売)

「生薬から鍼灸まで 中国医学の底力」「西洋医学の常識を覆す中国医学」という84ページから109ページにかけての英国編集部ピーター・グウィンの記事があります。

イェール大学の鄭永斉教授は『傷寒論』のオウゴン湯(オウゴン・カンゾウ・ビャクシャク・タイソウ)から配合薬「PHY906」を開発し、アメリカ国立ガン研究所の監督下でマウスの実験から患者の実験にこぎつけ、化学療法の吐き気や下痢を改善させました。それだけでなく、腫瘍を早く小さくしました。

以下、引用。

米国の抗がん薬製造大手のジョンソン・アンド・ジョンソン社、ブリストル・マイヤーズ社も大いに興味を持つだろう。

PHY906を投与されたマウスの腫瘍を調べると、白血球の一種でがん細胞を食べるマクロファージが増加していることがわかった。鍵となっているのは4種類の生薬の相互作用だ。

PHY906には複数の化学物質が混ざっている。その意味ではエイズの治療で効果が明らかになった薬の組み合わせ処方と似ている。私たちは古来の処方を学び、現代の科学的治療に当てはめている。

PHY906は複数の生薬を組み合わせた薬としては初めて米国医薬品局(FDA)に承認されるだろう。

PHY906は2010年に科学雑誌『サイエンス』で大きな話題になりました。

2010年イェール大学の論文
「4種類のハーブの中医学のPHY906は化学療法の消化器毒性を減少させた」
The Four-Herb Chinese Medicine PHY906 Reduces Chemotherapy-Induced Gastrointestinal Toxicity
Science Translational Medicine 18 Aug 2010:
Vol. 2, Issue 45, pp. 45ra59
DOI: 10.1126/scitranslmed.3001270

2012年にPHY906は日本で特許も認められました。

「公開特許広報(A)薬草組成物PHY906および化学療法におけるその使用」

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