ツムラが中国漢方市場を視野に

2017年10月12日『日経アジア・レビュー』
「漢方のツムラは、平安保険(ピンアン)のサポートで、中国漢方市場に攻撃を仕掛ける」
Tsumura charging into China’s herbal drug market with Ping An’s support

中国の「一帯一路」と2017年「中医薬法」施工後の世界的激変です。

以下、引用。

漢方のツムラは現在、お湯の中で刻み生薬を煎じたエキス剤を販売しており、中国で平安保険のカスタマー・データベースと販路を使って拡張する計画である。ツムラは漢方エキス剤を中国で売ろうとしており、中国漢方市場では1000億円(887万ドル)の売上を狙っている。

例えば、平安保険はヘルスケア・アプリとして健康食品と中国伝統医学漢方の医師と患者に直結するものを提供している。そのアプリは既に1億5000万人のユーザーと6万人の医師、25万件の施設と日々直結して膨大な量のビッグデータを提供できる。平安保険はツムラの漢方を伝統医学を行うパートナー病院に提供する。

7月に中国政府は中国伝統医学を促進する新法を施行した。新法は漢方の生薬や他の規制を求めている。

日本の薬品とOTC市場は年間2000億円に過ぎず、中国の中国伝統医学漢方マーケットは年間15兆円であるとツムラは主張している。

ツムラは昔から中国ビジネスをしており、未来の世界に適応しています。中国の一帯一路戦略に伴う、中国・インド・ロシア・EUを繋ぐユーラシア経済圏の形成、多極化世界の勃興がこれから起こる大変化です。

1945-1991年の米ソ冷戦は二極化世界支配システムでした。

1991-2001年の冷戦終結以後はアメリカの一極世界支配システムです。

2002年の9.11世界貿易センター事件で世界は変わります。アメリカはアフガニスタン戦争、2003年イラク戦争を起こし、2008年のリーマンショックと世界同時不況となりました。2009年にはBRICのブラジル・ロシア・インド・中国がBRIC会議を開き、2014年には南アフリカ共和国を入れたBRICs銀行が発足しています。2016年には中国主導でアジアインフラ投資銀行(AIIB)が発足しました。

つまり、2008年のリーマンショック以降の世界はすでに多極化システムに移行しはじめているわけです。

2009年から2017年1月までのオバマ政権時代の8年間は多極化システムへのアメリカの適応時期でした。ドローンとサイバー戦争と特殊部隊ネイビー・シールズを多用する未来の戦争がスマートなオバマ大統領の戦争=外交スタイルでした。オバマ大統領スタイルは多極化世界では正しい選択だと思います。おそらく、トランプ政権下のアメリカは劇的に国力を低下させるでしょう。

世界が多極化世界に向かう以上、文化や情報も多極化します。このような状況を一元的な価値観で乗り切るのは難しいです。思考のパラダイムシフトが求められています。

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