潰瘍性大腸炎の弁証論治

2016年上海中医薬大学、鍼と経絡の研究所
「潰瘍性大腸炎の鍼灸治療の臨床研究のレビュー」
Review of Clinical Studies of the Treatment of Ulcerative Colitis Using Acupuncture and Moxibustion
Jun Ji,et al.
Gastroenterol Res Pract. 2016; 2016: 9248589.
Published online 2016 Nov 3.

以下、引用。

1999年から2015年におこなわれた潰瘍性大腸炎のランダム化比較試験の領域におけるレビューを行う。

特定のツボの利用は69%の高さであった。主要なツボは、五輸穴、背兪穴、下合穴、募穴、交会穴であった。

ツボの配穴は、次のようなものであった。
(1)遠隔取穴は腹部の取穴や下肢の末梢穴と組み合わされていた。
(2)背部兪穴は募穴と組み合わされていた。例えば、天枢(ST25)と大腸兪(BL25)、中かん(CV12)と胃兪(BL21)そして、関元(CV4)と小腸兪(BL27)である。
(3)経絡に沿って取穴されていた。主には弁証により配穴されていた。

長期間における鍼灸の効果について、これらの研究では決定できない。

このレビュー論文で調べた中国の潰瘍性大腸炎の針灸臨床試験は「結論:潰瘍性大腸炎の試験の論文は主に古典理論によっていた」とされています。中国での潰瘍性大腸炎の中医学弁証論治はどのようなものなのでしょうか。

2015年上海中医薬大学の論文
「潰瘍性大腸炎の中医の弁証分布と治療の研究」
溃疡性结肠炎常见中医证型分布及治疗探讨
陈玉 平倩 刘鹏 林春李 张涛
《辽宁中医杂志》2015年 第10期

188例を分析し、大腸湿熱・66例、脾胃気虚・55例、大腸湿熱+脾胃気虚・57例、脾腎陽虚・3例、肝鬱脾虚・2例、陰血虧虚・3例、血瘀腸絡・2例という結果でした。

2016年広西中医薬大学の論文
「中医学の外治法の治療による潰瘍性大腸炎の研究の現状」
中医外治法治疗溃疡性结肠炎的研究现状
史佳宁et al. 天津中医药

この論文では、天枢(ST25)、大赫(KI12)、上巨虚(ST37)、足三里(ST36)を主穴として脾気虚なら脾兪(BL20)と胃兪(BL21)、血瘀なら血海(SP10)、湿熱なら陰陵泉(SP9)と太衝(LR3)を加減して91.11%の有効率とありますが信じ難いです。大赫(KI12)は足少陰腎経で中極(CV3)の外5分のツボで、なぜそんなに潰瘍性大腸炎に効果的なのか全く理解できません。

2015年上海中医薬大学、2016年上海中医薬大学、2016年広西中医薬大学の研究者による論文であり、弁証論治による中医学鍼灸の最前線です。過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎が増えている現在、中医学の大腸病の臓腑弁証は鍼灸に関しては問題だらけだと思います。

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