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陳可翼先生の「血瘀証与活血化瘀研究」

 

 

 

写真は陳可翼先生の「血瘀証与活血化瘀研究」(上海科学技術出版社1990年)です。これは「中西医結合」研究ですが、瘀血に関する中国伝統医学古典に最も詳しい文献になります。

『素問・刺腰痛論篇』の「悪血」という表現から清代の王清任や唐宗海に至る「瘀血」理論の歴史的変遷を詳細に分析しています。必読なのは「第三章 第一節 血瘀証中医診断基準と弁証標準」という部分です。

 

(1)青紫舌
(2)疼痛
(3)病理的腫塊
(4)血管異常
(5)出血
(6)脈象(渋脈または結脈・代脈)

 

上記の中で、「青紫舌はガンの患者では1.046例中519例49.6%に見られた」「他の研究では 血瘀証と診断された舌下静脈の怒張は61.32%だったが、33.02%には怒張が見られなかった」など、根拠となる症例データや研究が書かれていたことが有難いです。自分の臨床的実感ともピッタリ合致します。

瘀血だからといって青紫舌とか典型症状なんて滅多に見ないです。この根拠となった議論や研究を知らずに瘀血概念を臨床で使うのはかなりの確率で間違えるのではないかと危惧します。

 

「血瘀証」または「瘀血」はICD-11では以下になります。

暗い顔色、局所は青紫で塊があり、疼痛は固定性で、出血では黒い血や暗い色の血塊がある。紫舌または紫斑が舌にあり、唇は紫色で脈は硬く結代がある。

 

この文献で最も素晴らしいのは、陳可翼先生による「第七章 国外活血化瘀研究発展」です。

日本の矢数道明先生、湯本求真先生、間中喜雄先生など、歴代医家の瘀血論文を徹底的に研究しています。日本の雑誌『中医臨床』の論文も引用し、日本の寺澤捷年先生の研究や瘀血スコアももちろん掲載しています。

 

寺澤捷年「瘀血証の症候解析と診断基準の提唱」『日本東洋医学雑誌』34巻、1-17 1983年

寺澤捷年「瘀血病態の科学的解明」『日本東洋医学雑誌』48巻4号、409-436 1998年

 

個人的に、瘀血に関する最も優れた論考は以下の矢数先生の論文になります。

「瘀血をめぐって」矢数道明『日本東洋医学会雑誌』25巻、165-185 1974年

 

 

 

 

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