雲南白薬の歴史

2017年8月25日アメリカの経済誌『フォーブス』
「いかにして、一企業が、現代社会に、中国伝統医学そして、巨万の富をもたらしたのか?」
How One Company Brought Traditional Chinese Medicine To The Modern World And Made Billions

漢方薬の雲南白薬の記事です。雲南白薬はヴェトナム戦争の際に有名になりました。三七(田七人参)を主薬として使用した止血薬、打撲薬です。抜歯後の痕に田七の粉を振りかけると出血がすぐに止まります。ヴェトナム兵が「どんな出血でも1分以内に止まる」といって常備した薬であり、アメリカ兵も真似して携帯しだしたことから世界的に有名になりました。

1902年に中国の雲南省の少数民族、彝族(イ族)の名医、曲焕章先生が雲南省で「百宝丹」を創りました。これが後に「雲南白薬」となりました。

1938年に日中戦争の山東省、台児荘の戦いにおいて、曲焕章先生は中華民国軍に雲南白薬を提供し、それ以来、中華民国軍の常備薬となりました。

この際に、曲焕章先生は雲南白薬の中身を教えるように中華民国の国医館の館長、焦易堂に逮捕されて拷問され、1938年に曲焕章先生は死去されています。

焦易堂は中華民国の政治家で、日中戦争勃発の半年前の1937年に中国伝統医学の研究所、国医館を創った中国伝統医学の歴史に残る人物です。国医館は中華民国政府支援の半民間の中国伝統医学研究センター兼実験病院です。焦易堂は中華民国の政治家として1950年に台湾で亡くなりました。

1955年に曲焕章の奥さまが中華人民共和国政府に雲南白薬の組成の秘密を提出し、それ以来、中国人民解放軍の常備薬キットに入っているので、雲南白薬の組成は中国の国家機密となっています。

雲南白薬の主薬である田七人参は中国雲南省やチワン族自治区の非常に狭い地域でのみ栽培される生薬です。

雲南白薬を販売しているユンナン・バイヤオ・グループの売り上げや利益は2016年に急増し、雑誌『フォーブス』の選ぶアジア企業50社に入りました。

これは1999年に中国政府の命令を受けた現在の経営陣が雲南白薬の鎮痛スプレー、痔クリーム、湿布、歯磨き粉などをつくりだし、特に歯磨き粉が大ヒットしました。雲南白薬の歯磨き粉はアメリカのコルゲートの歯磨き粉の2倍以上の値段ですがものすごく売れています。

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