米軍携帯食「Dレーション」からアンケル・キーズの「Kレーション」まで

戦争がつくった現代の食卓-軍と加工食品の知られざる関係
Combat-Ready Kitchen: How the U.S. Military Shapes the Way You Eat
(「いかにして軍は我々が食べるものを形作ったか?」原著2015年)
アナスタシア・マークス・デ・サルガド著
白楊社2017年7月

米陸軍ネイティック研究所に関する文献です。

チョコレートのハーシーズが第二次世界大戦で開発したチョコレート・バー軍用非常食、Dレーションは、現代のコンビニに並んでいるエナジーバーの原型になりました。

軍産複合体、ハーシーズが開発したDレーションの包装は、ドイツ軍の毒ガスにも耐えられる包装になっていました。熱帯や砂漠の気温でも溶けない「お口で溶けて手に溶けない」チョコレートの誕生です。ここからフリーズドライのコーヒーやフリーズドライ食品、グリセロールとソルビトールなどの食品添加物が生まれました。保存性を高めるために糖分と塩分が多量に添加されます。

軍のくず肉を成形する技術からマクドナルド社の「マックリブ」が生まれます。これは豚くず肉が安い時にしか商品化されません。

パンの保存性を高めるためにトレハロースとドライイーストが発明され、パンを手でこねることでできるグルテンネットワークによる粘りは、活性グルテン添加によって解決されました。パン工場で製造されるパンにはマルトース生成αアミラーゼという酵素が加えられます。グルテン添加、酵素添加、イースト増量したパンの消費国では、セリアック病とクローン病が急増し、患者の腸からイースト抗体が見つかっています。

これらのアメリカ軍が創った「老化しないパン」は、日本のほとんどのパンがこれにあたりますが、フランスの法律、パン法令ではパンとは見なされません。ここから欧米におけるグルテンフリー戦争が始まります。

最大の発明はサランラップとレトルトパウチです。便利なものですが、レトルトパウチからは男性の精子損傷や子どもの低いIQにつながるフタル酸エステルが食品に移行します。

濃縮オレンジジュース、電子レンジ、レトルト食品、フリーズドライのインスタント食品、ビタミン添加米、冷凍ピザ、紙皿、プリングルスのポテトチップスも全て米軍ネイティック研究所が兵士たちのために創りました。

米軍の「Kレーション」のKは、ミネソタ大学の栄養学者アンケル・キーズのKeysからとられた命名です。アンケル・キーズは、現在の栄養学において、高脂肪食・高コレステロール食が、動脈硬化症を引き起こすという「コレステロール仮説」を提唱してマーガリンとリノール酸を推奨し、低脂肪ダイエットや地中海ダイエットを提案した人物です。アンセル・キーズの研究を調べると驚愕の連続です。米軍こそが現代の栄養学を「創った」のです。

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