スイス・フランス語圏の民間療法: ファイヤ・カッター

2014年7月15日
「スイスの医学エニグマ(謎):ヤケドのヒーリング」
SWITZERLAND’S MEDICAL ENIGMA: HEALING BURNS

以下、引用。

レイチェル・ベータは3歳の頃、アイロンのため手にひどいヤケドをおった。1か月の治療後、医師たちはこのヤケドは治らず彼女の傷跡は生涯残るだろうと言った。

やけっぱちになり、彼女の母親は伝統ヒーラーに電話をかけて、ヒーラーの男性が祈り続けている間、電話口に娘を出した。「医師が2、3日後に来て包帯をとった時、完全に治って傷跡もまったくなかったのよ」とレイチェルはシミ一つない手を見せながら言う。

まるで魔法みたいに聞こえると思うが、同じように電話で奇跡的にヤケドが治癒した人の話はごまんとあるようだ。別世界からの贈り物に憑りつかれた「秘術の運搬人」とか「ファイア・カッター」といわれる人たちが信じられている。スイスの地方では薬局や病院が彼らの電話番号を患者に渡すのが普通なのである。

何が秘術なのか。中世の時代から宗教的に祈る人は何世代もいて、ヤケドを治したり、出血をとめたり、痛みを減らし、皮膚の状態を改善してきた。

合理主義の時代の秘儀的な行為であるにも関わらず、スイスのジュラ、フリブール、バレー、アッペンツェルなどのスイスのカトリック地方に広がっている。

もちろん、ドゥラロイは簡単に偽医者や詐欺師などのレッテルを貼ることができるだろうが、ドゥラロイは1サンチームさえ彼のサービスで訴えられたことがない。「ぼくたちは一銭もうけとらずに無料でやっているからね」とドゥラロイは説明する。

ほとんどのヒーラーは、秘術を実践する際に教師や料理人や監獄の看守などの伝統的な職業についており、1日に100回近い呼び出しを受けており非常にストレスフルである。「それって、単調ですごくハードなんだよ」と中年のファイア・カッターでヴォー州のパン屋さんで働いているレイノルド・ジャッカードは言う。そして、レイノルドはギフトを父親から受け取ったのだが、人を助けるのは喜びであると言う。

驚くべきことに、医療のプロでさえこの実践を取り入れている。この群の深刻なヤケド患者のトップ治療部門であるローザンヌ大学病院は、たくさんのファイア・カッターの電話リストをもっている。ヴァレー州病院もそれと組み合わせた治療オプションを提案している。

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