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アレルギー性鼻炎の科学的研究

 

2015年『アレルギー性鼻炎の鍼灸治療の実験および臨床研究の概要』
针灸治疗过敏性鼻炎的实验及临床研究概况
孙冉 杨运宽 宋丹平 但小龙 叶健辉
《现代中医药》 2015年01期

 

アレルギー性鼻炎は 中医学の「鼻鼽(びきゅう)」のカテゴリーに入ります。

ユニークなのは、北京中医薬大学がアレルギー性鼻炎に対して通常刺法と比較して「疏肝調神法(肺兪・肝兪・太衝)」を用いて、インターロイキン5の抑制を報告していることです。

2014年「疏肝調神鍼刺法によるアレルギー性鼻炎の総合治療」
疏肝调神”针刺法治疗过敏性鼻炎的综合疗效评价
陈晟 《北京中医药大学》 2014年

 

他にも多く、インターロイキンの調節、視床下部ー脳下垂体ー副腎系(HPA軸)の調節、Th1/Th2バランスの改善、血清IgE低下などが報告されていました。

また、翼口蓋神経節刺鍼は交感神経/副交感神経のバランス調整となります。

 

これらはオーストラリア・グリフィス大学のジョン・マクドナルド先生によるアレルギー性鼻炎の鍼治療効果のメカニズムに関する仮説モデルと一致しています。

 

2013年『エビデンス・ベースド・コンプリメンタリー・アンド・オルタナティブメディスン(化学的根拠に基づいた補完代替医療)』
「アレルギー性鼻炎に関連した鍼の抗炎症効果:ナラティブ・レビューと提案モデル」
The Anti-Inflammatory Effects of Acupuncture and Their Relevance to Allergic Rhinitis: A Narrative Review and Proposed Model
John L. McDonald et al.
Evid Based Complement Alternat Med. 2013; 2013: 591796.
Published online 2013 Feb 14. doi: 10.1155/2013/591796

 

西洋医学的には、神経ー内分泌ー免疫ネットワークの調節を鍼灸はしていることになります。

アレルギー性鼻炎=鼻鼽は風寒・風熱などの外邪と肺・脾・腎の虚というのが現代中医学の標準理論ですが、日本の花粉症・アレルギー性鼻炎の臨床の現実を説明出来ないと分析しています。

例えば、小青龍湯や葛根湯加川キュウ辛夷は日本の花粉症アレルギー性鼻炎によく効きますが、傷寒論の太陽病の方剤です。小青龍湯は表寒裏飲、水飲の方剤です。また、多くの日本の漢方家が寒熱錯雑の病態を指摘しています。頭部や顔面部には浮腫があり、水湿停滞や湿化熱の要素があります。

 

中国の理論で最もしっくり来たのは北京中医薬大学の副学長である王慶国教授の理論です。

2015年「王慶国教授の双辛鼻鼽散によるアレルギー性鼻炎の経験の応用」
王庆国教授应用双辛鼻鼽散治疗过敏性鼻炎的经验
赵琰; 王雪茜; 赛佳洋; 赵妍; 刘敏; 闫军堂
环球中医药 第8卷 期数: 2015年10期 页码: 1206-1207

 

アレルギー性鼻炎の治療法則や治療方法では各家で異なる視点がある。

ある医家はアレルギー性鼻炎は肺気虚寒が主なので温補肺気し、散じ寒固表で治療するという。

また他の医家は鼻鼽の病因病機は症候の特徴として痰飲病に類似しており、痰飲の治療を参照するという。

袁颖は実験により瘀血がアレルギー性鼻炎にあり、活血が重要であるという。

他のある医家は肺経の伏熱がアレルギー性鼻炎の原因の一つであり、清肺泄熱を採用するという。

王慶国教授と劉渡舟先生はともに傷寒論の張仲景学説に立脚し、経方の運用は独自の理論に到達している。六経弁証をもって経方を加減してアレルギー性鼻炎を治療する。

アレルギー性鼻炎は内外の邪気が合い、病気は太陰、少陰、少陽の三経及び肺脾腎肝胆の臓腑が密接に関連している。

臨床では主要な3種類の証型が見られる。
少陰腎陽不足=太陽経気不利。
太陰少陰併病肺腎経気虚寒。
少陽経気不利、胆経邪熱犯肺。

 

 

 

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