長引く咳のレッドフラッグ徴候

2018年3月22日『GPオンライン』
「レッドフラッグ徴候:長引く咳」
Red flag symptoms: Persistent cough

臨床で最も役に立つのはレッドフラッグ徴候です。

以下、引用。

【レッドフラッグ赤旗徴候】

「3週間以上の長引く咳」

「胸膜炎性胸痛」

「呼吸困難」

「喀血」

「持続性の夜間の咳」

「喘鳴」

「繰り返される胸部の感染症」

「毎朝、起きると痰を咳こみ、3カ月以上続いている」

「意図しない体重減少」

「夜間の汗をかいている」

胸膜炎性胸痛は鍼灸師になじみがないです。以下の2017年の定義は参考に成ります。

2017年「胸膜炎性胸痛:異なる診断を通じて」
Pleuritic Chest Pain: Sorting Through the Differential Diagnosis
BRIAN V. REAMY, MD, et al.
D, Uniformed Services University of the Health Sciences, Bethesda, Maryland
Am Fam Physician. 2017 Sep 1;96(5):306-312.
https://www.aafp.org/afp/2017/0901/p306.html

※胸膜炎性胸痛は吸気または呼気時に突然、強く、鋭く、刺すような、焼けるような痛みが脇部にあり、深呼吸・咳・くしゃみ・笑うことで悪化する。胸膜炎が横隔膜の近くで起こると疼痛は頚部や肩に放散する。

横隔膜はC4デルマトームの支配なので頚肩部にデルマトーム関連痛が出ます。

特に覚えておくべき慢性咳嗽のレッドフラッグ徴候として、「過剰な痰の産出(気管支拡張症)」「全身症状、発熱、寝汗、体重減少(肺癌または結核)」「喀血(肺癌または結核)」「著しい呼吸困難(心不全、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、異物吸入の誤嚥)」などがあります。

慢性咳嗽の原因として、高血圧の薬剤であるACE阻害薬、喘息、胃食道逆流症、非喘息性好酸球性気管支炎があります。

まれに、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患、睡眠時無呼吸症、百日咳、感染後の気管支痙攣
などがあります。

2017年「慢性咳嗽:評価とマネージメント」
Chronic Cough: Evaluation and Management
CHARLIE MICHAUDET, MD, and JOHN MALATY, MD,
University of Florida College of Medicine, Gainesville, Florida
Am Fam Physician. 2017 Nov 1;96(9):575-580.
https://www.aafp.org/afp/2017/1101/p575.html

現代の慢性咳嗽の概念では咳喘息、アトピー咳嗽、非喘息性好酸球性気管支炎などの概念があります。

2013年「咳喘息と類似疾患」
新実 彰男『日本内科学会雑誌』2013 年 102 巻 6 号 p. 1419-1425
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/…/6/102_1419/_pdf

中国伝統医学では、咳嗽は『黄帝内経素問・咳論篇』で「五臓六腑はみな、人をして咳せしむ。ひとり肺のみにあらず」と論じられています。

おそらく、将来、作られる咳嗽の中医診療ガイドラインのもとになると予測されるのが、以下の「咳嗽の中医診療の専門家の共通認識(2011年版)」です。

2011年「咳嗽の中医診療の専門家の共通認識(2011年版)」
咳嗽中医诊疗专家共识意见(2011版)
《中医杂志》 2011年10期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-ZZYZ201110039.htm
https://www.wenkuxiazai.com/…/781ad1f804a1b0717fd5ddf8-3.ht…

4.5.1 针刺
主穴:肺俞、中府、列缺、太渊。
风寒袭肺证,加合谷;
风热犯肺证,加大椎、曲池、尺沢、丰隆;
痰热郁肺证,加尺泽、天突;
肝火犯肺,加行间、鱼际;
肺阴亏虚证,加膏肓、太溪。
实证针用泻法,虚证针用平补平泻。
4.5.2 艾灸
选穴大椎、肺俞(或风门)、膏肓。
采用麦粒灸,3~5日治疗1次,5次为1个疗程;或予艾条灸,每日1次,每次5~10min,以皮肤潮红为度,
可与针刺配合应用,适用于慢性支气管炎。

主穴は肺兪、中府、列欠、太淵になります。風寒襲肺なら合谷を加えます。風熱犯肺なら
大椎(GV14)・曲池(LI11)・尺沢(LU5)・豊隆(ST40)を加えます。痰熱欝肺なら尺沢(LU5)と天突(CV22)を加えます。肝火犯肺なら行間(LR2)と魚際(LU10)を加えます。肺陰虚なら膏肓(BL43)と太溪(KI3)を加えます。

漢方(中薬)の弁証は以下です。
4.3.1 风寒袭肺证
4.3.2 风热犯肺证
4.3.3 燥邪伤肺证
4.3.4 风盛挛急证
4.3.5 痰湿蕴肺证
4.3.6 痰热郁肺证
4.3.7 胃气上逆证
4.3.8 肝火犯肺证
4.3.9 肺阴亏虚证

鍼灸は咳嗽にものすごく効果があります。中枢性鎮咳薬は

コデインなど作用機序はオピオイド受容体(μ, κ, δ)やセロトニン受容体(5-HT)であり、鍼灸の鎮痛の機序とほとんど重なります。

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