易経バランス鍼と譚特夫先生の譚氏平衡鍼

2003年10月の『アキュパンクチャー・トゥデイ』にDavid Twicken先生による『易経バランス鍼』の説明記事がありました。

2003年10月『易経鍼(Yì jīng zhēn)』
I Ching Acupuncture
BY DAVID TWICKEN, DOM, LAC

以下、引用。

前のロサンゼルス市長のトーマス・ブラットリーのようにドクターチェンの治療を受けた多くの人が知っている。道教マスターのバオ・リン・ウー(気功師:Qi Gong For Well-Beingの著者)、ドクター・リチャード・テーフー・タン(譚特夫先生)は、ドクターチェンの仕事を深く研究して彼のワークショップを始めた。

1925年に中国の温州で生まれ、共産党の支配を逃れて台湾に引っ越した。ドクター・チェンは最初、メカニカルエンジニアとしてその職歴をスタートした。

ドクターチェンの妻は鍼のクラスが近所で行われていることを知らせた。ドクター・チェンは夜にクラスに参加すると決心し、聴講を気に入っていた。彼はその地域の八卦鍼マスターを聴講し、彼のクリニックで師匠を観察した。

ドクター・チェンは彼が見学したものに深い感銘を受けた。そして師匠の方法を学べるように尋ねた。師匠は家族にだけ教えるという伝統があると答えて、知識をシェアできないことを残念に思うと伝えた。それにも係わらず二人は友人となり、ドクターチェンは八卦鍼師になると決心し、黄帝内経にもとづく古典法を初歩的に使い、反対側のツボを選ぶようになった。

ドクター・チェンは『黄帝内経』は『易経』に基づくものであることを理解した。1975年、ドクター・チェンは易経とコンピューターにもとづく鍼治療のエッセンスを書いて台湾、韓国、日本で講義をおこなった。この小さな本は1990年から21世紀にかけてもっとも影響を与えるシステムとなった。

故・譚特夫先生の師としてChao Chen先生がいらっしゃったということらしいです。

【平衡鍼に関する覚書】
邵輝先生、木村律先生の『鍼灸臨床治療法集』(たにぐち書店)の同名交差取穴法は鍼灸師になったころから愛用していました。さらにこの数年、韓国の舎岩鍼法の五行穴の巨刺や間中喜雄先生の八脈交会穴IP鍼の巨刺を研究しているうちに肘から先・膝から下の巨刺で治療していました。ただ、理論化できない部分で悩んでいました。

王文遠先生の平衡针の存在を知りました。また、台湾の柯尚志先生の遠絡療法の研究をして、迎随に関する考え方が変化していきました。

2019年1月にセミナー参加者の先生から台湾(アメリカ)の譚特夫先生の譚氏天應穴平衡針法の存在を教えていただきました。これが大きなブレイクスルーの一つ目でした。

譚特夫先生の‘Tan’s Acupouncture’ の本と思い込んで、‘Mastering Tung Acupuncture’を購入し、台湾の董氏奇穴に出会いました。

2019年4月20日頃から王文遠先生の『王文遠平衡針治療頚肩腰腿痛』を購入し、肩痛穴から研究をはじめました。王先生の肩痛穴が経外奇穴の中平穴であることは大きなヒントとなりました。

「肩関節周囲炎2099例の中平の奇穴の刺鍼」
针刺中平奇穴治疗肩周炎2099例
王文远《中国医药学报》 1989年06期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-BXYY198906014.htm

さらに、日本の吉川正子先生の陰陽太極鍼法のヒントとなった「王穴」が王文遠先生の秘密のツボであることを思い出し、吉川正子先生の全ての論文とインタビューを精査しました。

王文遠先生の五十肩に愛用されている秘密の王穴は、別名「腎開穴」「天皇副穴」であり、董景昌先生の董氏奇穴であることが判明しました。これがブレイクスルーの2つ目です。

2014年「腎関穴による肩関節周囲炎の治療の臨床研究」
肾关穴治疗肩周炎的临床研究
毛杰 《广州中医药大学》 2014年
http://cdmd.cnki.com.cn/Article/CDMD-10572-1014360311.htm

譚特夫先生の“Twelve and twelve in acupuncture” 1996年を精読し、董景昌先生の董氏奇穴である「霊骨」「大白」「中白」 「重子」「重仙 」などの譚先生の症例を研究しました。譚特夫先生の‘Acupuncture 1 2 3’を精読し、王文遠先生の踝痛点や楊占林先生の同経相応取穴法を研究しました。さらに、アメリカや台湾やドイツやブラジルやイスラエルなどの董氏奇穴&譚氏平衡針の広がりを調べているうちに、台湾出身のチャオ・チェン先生の易経バランス鍼の存在を知りました。この調査研究はあくまで自分の「肘から先・膝から下の特定穴のみを使った鍼の刺法」をブラッシュアップするためなので、今後、何年もかけて追試する必要があります。

【平衡鍼の歴史】

1972年 王文遠先生が『平衡针』の肩痛点を発見する。
1973年 董景昌先生 「菫氏鍼灸正経奇穴学」の出版。

1975年 ドクターChao Chen先生が易経バランス鍼(ICBA:I Ching Balance Acupuncture)」を発表する。

1986年 楊占林先生が『同経相応取穴法』を発表する。

1989年  譚特夫先生がカリフォルニアで鍼師の資格を取得し、「ドクター・タンの鍼」 「譚氏天應穴平衡針法」を開発。
※1994年に“Twenty-Four More in Acupuncture: Unique Point Applications and Case Studies for Effective Pain Treatment”Richard Teh-Fu Tanを出版。

1998年 吉川正子先生、世界鍼灸学会(WFAS)にて「陰陽太極鍼法」発表。

2002年 柯尚志先生が遠絡療法を発表。

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