惟宗具俊 『医談抄』

鎌倉時代、惟宗具俊
『医談抄』
京都大学貴重資料デジタルアーカイブ
 
 
鎌倉時代の医書で圧倒的に面白いのが、鎌倉時代の宮廷医、惟宗具俊(これむね・ともとし)の『医談抄』です。惟宗具俊先生には日本最古の鍼灸専門書である『続添要穴集』の著書もあり、『医談抄』には鍼灸記述が豊富です。特に灸に関しては阿是灸の記述などが面白いです。
 
 
「『医談抄』の鍼灸」
寺川華奈
日本医史学雑誌第57巻第2号
(オープンアクセス)
 
 
医談抄上 脈法 鍼灸 薬療
 1診脈難察事/2上古診脈証験事/3針石起事/4針殺二生人一事/5上古針術験事/6火針事/7灸起事/8諸療不レ如レ灸事/9灸時剋事/10追レ日可レ灸事/11脚気灸事/12灸有二補瀉一事/13灸不レ燗事/14阿是灸事/15孔穴寸法事/16荵 事/17灸鳴走事/18壮数事/19本草薬療事/20寒熱対治事/21合薬事/22諸薬採貯事/23諸薬試験事/24毒薬依レ人事/25根茎花実可レ異事/26薬名可二分別一事/27毒物為レ薬事
医談抄下 雑言
 1慈悲救療事/2名利責事/3医可二正直一事/4傍医嫉妬事/5可レ信二医教一事/6医者意也事/7非二其人一不レ伝事/8可レ賞二医道一事/9良医失事/10貴人療治事/11練習功事/12不レ任二本説一事/13当座才智事/14医術色代事/15伝屍癩病不レ可レ治事/16邪気 事/17淫欲病事/18色欲過度事/19末代病深重事/20前世余福事/21大怒病差事/22悸愈レ病事/23疑病事/24小食寿老事/25大食病事/26飲酒病事/27上戸下戸事/28鱠不レ可レ食事/29異疾事/30風呂事/31温泉事/32丹家有レ霊事
 
 
 
『医談抄』の下巻の「16邪気」には「鬼気疫癘」、つまりスピリチュアルな「邪気」が『諸病源候論』などを引用して論じられています。日本語のいわゆる「邪気」と、中医学の六淫の「邪気」は意味が違うと感じているのですが、『医談抄』の「邪気」は、現代のスピリチュアルな層が使う日本語としての「邪気」にニュアンスが近いと思いました。『医談抄』は、医学よりも文学や歴史の研究者の先生方が取り上げられている印象が強いです。
 
 
 
『医談抄』はYouTube、東洋医学の最新情報 vol.16「東洋医学の歴史2(鎌倉)」でも取り上げていますので、ぜひあわせてご参照ください。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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