2021年4月に起きた認識の変化

 
2021年4月14日『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BМJ)』
「Covid-19は空気感染を再定義する」
Covid-19 has redefined airborne transmission
BMJ 2021; 373
doi: https://doi.org/10.1136/bmj.n913 (Published 14 April 2021)
Cite this as: BMJ 2021;373:n913https://www.bmj.com/content/373/bmj.n913
 
 
論文著者の一人は、今回の科学認識革命を主導した一人であるヴァージニア工科大学のリンゼイ・マー教授です。飛沫感染と空気感染の概念の混乱は再定義されます。換気の重要性が再認識されます。
 
 
2021年4月28日『アメリカ科学アカデミー紀要(PNAS)』
「Covid19による屋内の空気感染を制限するためのガイドライン」
A guideline to limit indoor airborne transmission of COVID-19
Z. Bazant and John W. M. Bush,PNAS April 27, 2021 118 (17) e2018995118;
 
 
マサチューセッツ工科大学の教授による『アメリカ科学アカデミー紀要(PNAS)』の「6フィート(182cm)のソーシャル・ディスタンスの見直しを提唱する論文」です。
 
 
2021年4月28日
「いかにして我々はここにたどり着いたのか。飛沫感染とエアロゾル感染はいかにかけ離れているのか。呼吸器疾患の感染経路の歴史的展望」
How Did We Get Here: What Are Droplets and Aerosols and How Far Do They Go? A Historical Perspective on the Transmission of Respiratory Infectious DiseasesSSRN Posted: 28 Apr 2021
 
 
 
ヴァージニア工科大学の大学院生キャサリン・ランドールさんがリンゼイ・マー教授と図書館と古本屋で1930年・1940年・1950年代の医学論文を掘り起こしたことでパラダイムシフトが起こりました。まさか工科大学で文献学や歴史学、医学史をやることになるとは、ランドールさんは思いもしなかったでしょう。
 
 
2020年9月
「いかにして屋内のCovid-19の空気感染を最小化するのか?」
How can airborne transmission of COVID-19 indoors be minimised?
LidiaMorawska
Environment International
Volume 142, September 2020, 105832
 
 
 
WHOの権威的な医学者が「あなたは間違っている」と尊敬される物理学者、リディア・モラウスカ先生に傲慢に言って議論をうちきったことをリンゼイ・マー先生がみて、ショックを受けたことがはじまりです。
 
権威主義の医学者たちの「信仰」は科学者・物理学者という異分野の挑戦をうけて、合理的思考と実験の前にたった一年で完全に敗れ去りました。科学認識の革命を起こしたチャレンジャーのほとんどが女性科学者だったというのは示唆的です。
 
異分野のサイエンティストには権威主義は通じません。教科書を盲信する権威主義的思考と科学的思考はそもそも正反対なのだと思います。科学史、科学哲学を学んできた人間にとっては、学ぶところが大きい歴史的事件です。
 
 

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