横刺の歴史

 
2020年6月『中華医史雑誌』
「『平刺』と『平鍼』の学術用語の考察」
“平刺”与”平针”术语考辨
黄涛
中华医史杂志, 2020,50(04) : 238-240.
DOI: 10.3760/cma.j.cn112155-20200630-00099
 
 
刺鍼法には横刺(おうし)、平刺(へいし)、沿皮刺(えんぴし)があります。定義は皮膚から15度の角度で刺すことです。歴史的には『霊枢・官鍼篇』に「直鍼刺」があります。寒気が浅いものを横刺します。
 
 
六曰直针刺,直针刺者,引皮乃刺之,以治寒气之浅者也。
 
 
『難経・七十一難』では「臥鍼(がしん)」があります。衛気を刺すには横刺します。
 
 
七十一难曰:经言:「刺荣无伤卫,刺卫无伤荣。」何谓也?
然:针阳者,卧针而刺之;刺阴者,先以左手摄按所针荣俞之处,气散乃内针。是谓刺荣无伤卫,刺卫无伤荣也。
 
 
晋代、『肘后備急方』では横鍼が初出しています。
 
『肘后備急方』
又刺鼻直上,入发际一寸,横针。
 
 
元代、『扁鵲神応鍼灸玉龍経』では 沿皮刺(えんぴし)が初出しています。
 
『扁鵲神応鍼灸玉龍経』
眉目间痛
眉目疼痛不能当,攒竹沿皮刺不妨。
 
中风口眼致 斜,须疗地仓连颊车。
颊车:在耳后坠下三分,沿皮向下透地仓一寸半,灸二七壮。
 
 
『扁鵲神応鍼灸玉龍経』では顔面神経麻痺(中風・口眼歪斜)に頬車(ST6)から地倉(ST4)への横刺を用いています。腕踝鍼(わんかしん)は横刺を使います。直刺、斜刺、横刺をどのように使い分けるかは重要な問題だと思います。
 
 

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