東洋医学の「冷え体質」と「一分の飢えと三分の寒」子育て論

沖正弘門下の平井謙ニ先生の太陽保育園は「はだし教育」に加えて真冬でも上半身裸の「はだか教育」も実践しています。園児たちは玄米菜食で、毎日、イリコと根菜、梅干し、ニンニク入り汁物を給食に食べています。運動は専門家によるヨガです。ホームページでは保育園児たちのブリッジの写真がきまり過ぎています。毎日30分、座禅と立腰教育を行っています。

極めつけは、毎年の厳冬期に太陽保育園の園児たちが高野山で行う耐寒訓練です。冬の高野山にバスで出かけて、上半身裸で手袋だけして雪合戦をして、保育園に帰ってから冷水シャワーを浴びるそうです。この冷水シャワーは毎日、続けられます。

ここで疑問に思うのは、東洋医学の教育・保育法です。私は子どもができた際に、家伝の小児科医である邵輝先生から「子どもは寂しい思いや寒い思い、飢えを感じさせ、つらい思いをさせないとダメになります」と助言されました。

江戸時代の貝原益軒は「一分の飢えと三分の寒」と書いています。つまり、子どもは「陽(陽余って陰不足)」なので少し冷やしたほうが良い、子どもは甘いものや乳食過度では疳症となるので少し飢えさせたほうが良いというアドバイスです。一方で、最近の中医師が書いた中国の新聞記事を読むと、「子どもは稚陰稚陽で陽が弱いので冷やしてはいけない」と厚着させています。現代の日本のベビーカーの中の赤ちゃんも、冬はモコモコに厚着してベビーカーのフードが曇るほど寒風を避けています。そして日本の沖ヨガや玄米菜食・正食協会の流れをくむ平井謙ニ先生の太陽保育園では、徹底的に「はだか教育」「はだし教育」で冷水シャワーを浴びせます。


江戸時代の医師、平野重誠が書いた小児科の名著『病家須知』でも薄着が推奨されており、『養生訓』と同じ見解です。近代化以降の日本でも、わたしが子どものころは喘息などの虚弱児童に上半身はだかで乾布摩擦させていました。

あまり、古代の子どもの衣服について、資料は無いですが、スパルタ教育の時代のギリシャのスパルタでは上半身裸の和歌山の「はだか教育」を超える「全裸教育」だったことはわかっています。古代ギリシャのスパルタの子どもは下着だけの上半身裸で、12歳から20歳まで男性は全裸で過ごします。古代のオリンピックはスパルタだけでなく、他の都市の選手も全裸でした。

考えてみれば、アマゾンの部族やアフリカなどでも子どもは全裸や上半身裸が多いです。もし、現代中医学が主張するように「子どもは厚着すべきである」なら、ネアンデルタール人やクロマニョン人は氷河期を生き抜けなかったはずです。「冷やす子育て」と「温める子育て」のどちらが正しいかは、東洋医学プラクティショナーにとって結構、重要な問題だと思います。

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