腱板炎

2014年「李永峰教授による棘上筋腱板炎36例の推拿と鍼灸の組み合わせの治療経験の総括」
李永峰教授推拿配合针刺治疗冈上肌肌腱炎36例经验总结
张欢 《陕西中医学院学报》 2014年04期
http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTOTAL-SXXY201404047.htm

西洋医学の回旋筋腱板炎、または棘上筋腱板炎は中国語の冈上肌肌腱炎です。
この論文では、外傷、労損、風寒湿による痺証、肩凝症です。西洋医学的には60~120度の外転で疼痛がある有痛弧徴候と大結節や肩峰下の圧痛で診断されます。

治療は、肩周囲への按法、揉法、捏法、拿法、㨰法などの推拿です。特徴的なのは、圧痛点と肩井への2分間の按法をします。これは真っすぐに指圧の持続圧迫をかけます。やはり臨床家の意見は似てきます。鍼では圧痛敏感点に平補平瀉し、肩井・肩中兪に補法、曲池に瀉法します。

西洋医学的には、ペインフルアークサインの感度・特異度には諸説あります。以下の論文でペインフルアークサインは感度は39.5パーセント、特異度は83.9パーセントでした。

2014年8月発表 オランダ
「回旋筋腱板断裂の患者の特性、病歴、そして肩の臨床試験」
The diagnostic value of the combination of patient characteristics, history, and clinical shoulder tests for the diagnosis of rotator cuff tear.
van Kampen DA1, van den Berg T, van der Woude HJ, Castelein RM, Scholtes VA, Terwee CB, Willems WJ.
J Orthop Surg Res. 2014 Aug 7;9:70.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4237868/
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/…/PMC…/pdf/s13018-014-0070-y.pdf

下記の論文では、ペインフルアークサインの感度は54.3パーセント、特異度は93パーセントです。

2001年「腱板断裂の臨床的診断について」
三笠 元彦, 吉峰 史博『肩関節』Vol. 25 (2000-2001) No. 2 p. 297-300
https://www.jstage.jst.go.jp/…/katakansets…/25/2/25_297/_pdf 

つまり、ペインフルアークサインは特異度は良いですが感度に欠けています。

インピンジメント衝突症候群と有痛弧症候群の歴史です。

1972年にインピンジメント症候群はアメリカの整形外科医チャールズ・ニアー2世によって、世界最初の論文が書かれました。

1972年「肩の慢性インピンジメント症候群への肩峰前方形成術:予備レポート」
Anterior acromioplasty for the chronic impingement syndrome in the shoulder: a preliminary report.
Neer CS 2nd.
J Bone Joint Surg Am. 1972 Jan;54(1):41-50.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/5054450

チャールズ・ニアー2世はニアー・テストを開発しました。これは肩甲骨の肩峰を固定し、前腕を回内位にして烏口肩峰靱帯と上腕骨をぶつけるような理学検査法です。インピンジメント・テストとも呼ばれます。

1974年にケネディとホーキンズが「水泳肩」という論文を書きました。これは水泳肩に関する最初の論文です。

1974年「水泳肩」
Swimmers shoulder.
Kennedy, J.C., Hawkins, R.
The Physician and Sportsmedicine. 1974;2:34–38.

そして、1980年にケネディとホーキンズが「アスリートのインピンジメント症候群」という論文の中で「インピンジメント・サイン」という名前でホーキンズ・ケネディ・テストを提唱しました。

1980年「アスリートのインピンジメント症候群」
Impingement syndrome in athletes.
Hawkins RJ, Kennedy JC.
Am J Sports Med. 1980 May-Jun;8(3):151-8.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7377445

1977年にイギリス・ロンドンのケッセル・リップマン医師らのグループが「ペインフル・アーク・シンドローム」という論文の中で、インピンジメント症候群の一つとして60度から120度の角度で疼痛が発生する有痛弧症候群と有痛弧徴候を提唱しました。

1977年「有痛弧症候群」
The painful arc syndrome.
Lipmann K,et al.
The Journal of bone and joint surgery
Vol.59-B.No.2.May 1977
http://www.bjj.boneandjoint.org.uk/…/jb…/59-B/2/166.full.pdf

つまり、1972年にチャールズ・ニヤー2世がインピンジメント症候群の概念とニヤー・サインを提案し、1977年にリップマンが有痛弧症候群とペインフルアークサインを提案し、1980年にケネディとホーキンスが水泳肩とホーキンス・ケネディ・テストを提案しました。ニヤーサインとホーキンス・ケネディ・サインは感度は高いですが、特異度が低いです。

2018年「アスリートの肩の包括的検査」
Comprehensive Examination of the Athlete’s Shoulder
Eric J. Cotter, et al.
Sports Health. 2018 Jul-Aug; 10(4): 366–375.
Published online 2018 Feb 14.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6044121/

以下、引用。

ニヤーサインは肩峰下滑液包インピンジメントに対する感度は75パーセントで、ホーキンス・ケネディテストは感度80パーセントだった。

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