周術期鍼

 
 
以下、引用。
 
福島医大会津医療センターの研究チームが、早期胃がんの内視鏡手術ではりを使って腹部のつぼを刺激し、胃の動きを抑えることに成功した。同センターが11日、発表した。同センターは、持病で胃の動きを抑える薬を使用できない患者の手術に役立つ可能性があるとしている。
 
同センターによると、はりを内視鏡手術に利用するのは世界で初めて。内視鏡手術を専門とする消化器内科の渋川悟朗教授(50)と、はりが専門の漢方医学の鈴木雅雄准教授(46)らが協力して研究に取り組んだ。
 
渋川教授らによると、胃の動きを抑える薬は血圧変動などの副作用の恐れがある。心筋梗塞や高血圧などの持病があると薬を使用できず、胃が動いている状態で胃がんを切除せざるを得ないため、手術が長引き医師、患者ともに負担が大きくなることが多いという。
 
研究は内視鏡手術を行う46人を対象に実施した。23人は薬、別の23人ははりを使って胃の動きを抑え、データを比較した。複数人の執刀医に手術のやりやすさを尋ねたところ、はりの方が「やりやすい」との回答が多かった。また、薬の場合は14人に副作用の血圧変動があったが、はりでは2人だけだった。
 
渋川教授は「はりを扱える医師が少ないのは課題だが、研究を続けて有効性を確認し、はり刺激の普及を目指したい」と話している。
 
研究成果はスイスの総合内科誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・メディシン」電子版に7月9日付で掲載された。
 
 
 
2021年7月9日『ジャーナル・オブ・クリニカル・メディシン』
Pilot Study of Acupuncture’s Antispasmodic Effect on Upper Gastrointestinal Tract during Endoscopic Submucosal Dissection for Early Gastric Cancer: Controlled Clinical Trial
Masao Suzuki et al.
J. Clin. Med. 2021, 10(14), 3050;
 
本研究で行った『中かん(CV12)穴』への鍼刺激では、鍼の深さが腹筋の白線に達し、筋膜と白線が鍼によって強く刺激されたため、胃の運動性が抑制されたと考えられた。
 
 
 
慢性閉塞性肺疾患の鍼治療で有名な鈴木雅雄先生の研究です。
 
 
2012年 鈴木雅雄先生の論文
「COPD患者の鍼治療のプラセボ対照ランダム化比較試験」
A randomized, placebo-controlled trial of acupuncture in patients with chronic obstructive pulmonary disease (COPD): the COPD-acupuncture trial (CAT).
Suzuki M,et al.
Arch Intern Med. 2012 Jun 11;172(11):878-86.
 
 
 
世界五代医学雑誌の一つ、『アナルス・オブ・インターナル・メディシン』に掲載されたというのが画期的でした。
 
 
ウクライナ出身で、ドイツのグライフスヴァルド医科大学麻酔科の教授であるタラス・ウシシェンコ先生はペリオペレイティブ・アキュパンクチャー(周術期・手術前後の鍼)の専門家です。
 
最近、手術前に手術の不安を和らげたり、手術後に疼痛や悪心・嘔吐などの外科手術の副作用を和らげたり、膀胱や大腸の機能回復させる鍼のことを周術期の鍼(ペリオペレイティブ・アキュパンクチャー)と呼んでいますが、これはグライフスヴァルド医科大学のウシシェンコ教授が最初に言い始めたと思います。
 
 
2014年「周術期の鍼:なぜ、われわれを使おうとしないのか?」
Perioperative acupuncture: why are we not using it?
Usichenko TI, Streitberger K.
Acupunct Med. 2014 Jun;32(3):212-4. doi: 10.1136/acupmed-2014-010580. Epub 2014 Apr 28.
 
 
2019年3月「周術期の鍼医学:鍼麻酔に代わる新しいコンセプト」
Perioperative acupuncture medicine: a novel concept instead of acupuncture anesthesia.
Yuan W1, Wang Q.
Chin Med J (Engl). 2019 Mar 20;132(6):707-715.
 
 
以下、引用。
鍼は手術後の胃腸機能や膀胱機能の回復を改善できる。
 
最後に、麻酔および手術刺激は免疫機能の低下を招く可能性があり、術後患者の長期予後を長期的には改善しないかもしれない。鍼は手術後の免疫機能を回復させることを改善して手術後のそう痒症を改善でき、手術後の予後を改善できる。
 
 
 

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