慢性疼痛の鍼と脳の機能調節

2015年ハーバード大学病院精神科のナタリア・エゴロバ先生の論文
「プラセボ鍼ではない反復する真鍼は、慢性疼痛における脳の調節不全の領域を正常化する」
Repeated verum but not placebo acupuncture normalizes connectivity in brain regions dysregulated in chronic pain
Natalia Egorova, Randy L. Gollub, and Jian Kong
Neuroimage Clin. 2015; 9: 430–435.
Published online 2015 Sep 25
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4596925/

以下、引用。

慢性疼痛への変遷は、疼痛への注意、感情的反復、侵害的な記憶、学習回避と関連しており、特に中脳水道周囲灰白質、前頭前皮質内側部、左右両側の海馬に特に影響した脳の結合性変化を引き起こす。

われわれは変形性膝関節症のような慢性疼痛患者における中脳水道周囲灰白質と前頭前皮質内側部、中脳水道周囲灰白質と海馬が臨床的な重症度と関連していることを示し、さらに真鍼が偽鍼と比較して中脳水道周囲灰白質と前頭前皮質内側部、中脳水道周囲灰白質と海馬の結合を改善することを示した。

この研究では、反復する鍼治療が脳の疼痛の領域を正常に回復する役割を果たし、疼痛関連の注意と記憶を正常化することを示す。

機能的神経イメージングは、鍼の刺激が島皮質、視床、一次性と二次性の
体性感覚野におけるf MRIシグナルの増加と関連し、尾状核、後帯状皮質、
海馬傍回におけるf MRIシグナル減少と関連しており、前頭前皮質内側部、
前帯状皮質、扁桃体、小脳におけるシグナル増減も同様である。

付け加えるなら、疼痛の領域である中脳水道周囲灰白質は、鍼によって調節され、真の鍼と偽鍼では差異を示す。

ハーバード大学では、鍼の得気が脳の特定領域を変化させ、真の鍼と偽鍼の違いとなり、慢性疼痛での脳の機能不全を調節することを長年、研究してきています。

慢性疼痛における脳の状態を変化させるのが鍼の響きや指圧における持続圧の感覚なのです。これは臨床で、ものすごく応用できる知識となります。

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