2019年『鍼は慢性片頭痛のデフォルト・モード・ネットワークの逆転効果がある』
Acupuncture Reversible Effects on Altered Default Mode Network of Chronic Migraine Accompanied With Clinical Symptom Relief
Yan Zou et al. Neural Plast. 2019.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6442315/
2001年にf MRIによってデフォルト・モード・ネットワークが発見されました。
これはポーッとしているときにだけ活性化される脳の領域ネットワークです。
2005年からハーバード大学の研究者キャサリーン・フイ先生とヴィタリー・ナパドウ先生が鍼の得気状態とデフォルト・モード・ネットワークの関係を研究しました。
わたしは2007年頃に関西中医鍼灸研究会で、鍼と得気とデフォルト・モード・ネットワークについて報告しました。
2013年に、片頭痛患者は慢性化するとデフォルト・モード・ネットワーク領域が不活性化することが判明しました。認知と学習に関連する領域です。
この論文では、鍼が片頭痛に効果があるのはデフォルト・モード・ネットワークを活性化するという機序であるという論文が発表されました。
2013年「片頭痛患者への脳血流反応：システマティックレビュー」
Cerebral Hemodynamic Responses to Acupuncture in Migraine Patients: A Systematic Review
Ming-Yu Lo
J Tradit Complement Med. 2013 Oct-Dec; 3(4): 213–220.
doi: 10.4103/2225-4110.119720
鍼は片頭痛患者の脳血流の動態を変化させます。
2014年「長期間の鍼は片頭痛患者の休息時の脳活動に影響を与える：活性化されたツボと不活性化されたツボのランダム化比較試験」
Effects of Long-Term Acupuncture Treatment on Resting-State Brain Activity in Migraine Patients: A Randomized Controlled Trial on Active Acupoints and Inactive Acupoints
Ling Zhao et al. PLoS One. 2014.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24915066/
前帯状皮質と島皮質が片頭痛の鍼鎮痛と関連しているようです。
2015年『前兆をもたない片頭痛の右側の前頭頭頂制御ネットワークへの鍼の効果』
The Effects of Acupuncture Treatment on the Right Frontoparietal Network in Migraine Without Aura Patients
Kuangshi Li et al. J Headache Pain. 2015.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4411327/
右側の前頭頭頂制御ネットワークを鍼は調節します。
2016年
Altered Periaqueductal Gray Resting State Functional Connectivity in Migraine and the Modulation Effect of Treatment
Zhengjie Li et al. Sci Rep. 2016.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26839078/
鍼は中脳水道周囲灰白質および吻側前帯状皮質、前頭皮質内側部を変化させます。
2017年
Acupuncture Modulates the Abnormal Brainstem Activity in Migraine Without Aura Patients
Zhengjie Li et al. Neuroimage Clin. 2017.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5447510/
鍼は島皮質被殻、尾状核、吻側延髄腹内側部、三叉神経頸髄複合体を変化させます。
上記のような片頭痛患者の鍼治療の際の脳機能研究の積み重ねの上に、今回のデフォルト・モード・ネットワーク研究があります。