権威、白川静への反論

 
 
落合淳思
‎中央公論新社 (2015/1/23)
 

 
 
甲骨文字と殷(商)の歴史研究者、落合淳思先生の『殷 ―中国史最古の王朝』は、殷代の暦の問題を謎解きとして解決し、画期的でした。
 
落合淳思先生と言えば、白川静記念東洋文字文化研究所に所属しながら白川静先生の甲骨文字研究や漢字研究を痛烈に批判したことでも有名です。
 
 
『漢字の成り立ち』
落合淳思
『立命館東洋史學 』(34), 1-22, 2011
 
 
以前から「白川静の漢字学はトンデモ学説」というのは言われていました。
 
 
極東ブログ『白川静は「と」だと思う』
白川静の漢字についての話は、膨大な「と」(「とんでもない」法螺話)だと思っている。こんなものをありがたがるの知識人がいるのも、なさけないことだなと思っている。
 
 
高島俊男「両雄倶には立たず――白川静と藤堂明保の『論争』――」
159–165ページ
 
白川静の字源研究についてきちんと評価をしてくれているのは、ぼくにはとてもありがたかった。漢字というと、白川静信者がやたらにいて、『字訓』『字統』とかを聖書のごとくあがめる人がいっぱい沸いてくるんだけれど、ぼくは前からいま一つ信用できなかったのだ。
 
 
私も中国文学者の高島俊男先生や山形浩生さんと同意見で、若い頃は白川静先生の漢字学説が嫌いでした。
特に鍼灸の古典派の先生が白川静先生の『字訓』『字統』を引用するたびに、たとえその先生が臨床で実力があり人格的にも優れていると知っていても、がっかりしました。
 
だからこそ、2011年に37才の落合淳思先生が白川静先生の漢字学説を批判した時は、本当に凄いと感心しました。
哲学者、ショーペンハウエルが、32歳で、当時の哲学の王者だったヘーゲルとわざわざ同じ時間にベルリン大学で講義を行い、挑戦したのと同じくらいのガッツがあります!
 
 
「白川静ブームとその問題点」
田畑 暁生
『神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要』6(1), 37-45, 2012-09
(全文オープンアクセス)
 
 
白川静先生の学説への最も妥当な批判だと思います。
 
【十干(天干)と経絡】
甲(木の兄:きのえ)足少陽胆経
乙(木の弟:きのと)足厥陰肝経
丙(火の兄:ひのえ)手太陽小腸経
丁(火の弟:ひのと」手少陰心経
戊(土の兄:つちのえ)足陽明胃経
己(土の弟:つちのと)足太陰脾経
庚(金の兄:かのえ)手陽明大腸経
辛(金の弟:かのと)手太陰肺経
壬(水の兄:みずのえ)足太陽膀胱経
癸(水の弟:みずのと)足少陰腎経
 
【十二支(地支)と経絡】
子(ね)足少陽胆経:北:23〜1時
丑(うし)足厥陰肝経:北北東:1〜3時
寅(とら)手太陰肺経:東北東:3〜5時
卯(う)手陽明大腸経:東:5〜7時
辰(たつ)足陽明胃経:東南東:7時〜9時
巳(み)足太陰脾経:南南東:9時〜11時
午(うま)手少陰心経:南:11時〜13時
未(ひつじ)手太陽小腸経:南南西:13時〜15時
申(さる)足太陽膀胱経:西南西:15時〜17時
酉(とり)足少陰腎経:西:17時〜19時
戌(いぬ)手厥陰心包経:北北西:19時〜21時
亥(い)手少陽三焦経:西北西:21時〜23時
 

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする