【BOOK】『南北朝時代―五胡十六国から隋の統一まで』

 
 
会田 大輔
中央公論新社 (2021/10/18)
 

 
 
著者の会田大輔先生は、1981年生まれです。
若い歴史学者の先生方は本当に凄いです!
 
中国医学で言うなら、春秋戦国時代から秦漢は『黄帝内経』『難経』の時代なので、みんな大好きで、『項羽と劉邦』や『キングダム』など漫画化や映画化もしょっちゅうされています。
 
後漢から三国志時代も張仲景先生の『傷寒雑病論』や華佗の時代であり、三国志として親しまれています。日本も光武帝から金印を受けたり、邪馬台国の卑弥呼が出てきます。
 
しかし、西晋が三国志時代を統一してから隋唐までは「魏晋南北朝時代」「五胡十六国時代」「六朝文化」の世界で、ものすごく不人気です。何より良い初心者向け文献が少ないことが原因だと思います。
 
しかし、東洋医学では、西晋時代に『鍼灸甲乙経』と『脈経』、葛洪の『肘後備急方』が書かれます。
南朝の宋では秦承祖が新たな灸法を創案し、陳延之が『小品方』を著します。
南朝の梁の陶弘景は『神農本草経』を注釈します。
重要な時代であり、理解の必要があります。
 
 
文化的にも、西域から入ってきた仏教が中国で大流行し、道教が盛んになります。
 
特に南朝の六朝文化は日本に多大な影響をもたらし、倭の五王も南朝の歴史書に登場します。詩人・陶淵明や書聖・王羲之の時代であり、『文選』が書かれた時代です。
北朝の北魏の均田制などは、班田収授法として日本に影響をもたらしています。
 
宗教的には、廬山の慧遠が中国・浄土宗を作り、これが日本に影響します。
 
朝鮮半島の百済・新羅・高句麗そして任那(加耶)もちょうど、この時代です。
東アジア文化、中国文化の大転換期なのです。
 
歴史地図も多く作図されて、最新研究も引用され、わかりやすく、面白かったです!
新たな名著の誕生です。
 
 
 

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