【BOOK】『仏教、本当の教え – インド、中国、日本の理解と誤解』

 
 
植木雅俊 (著)
中央公論新社 (2011/10/22)
 

 
これは、読んで感動しました。
 
著者の植木雅俊先生は、40歳を超えてから1991年に中村元先生にサンスクリット語を学び、2002年に博士号を取得し、法華経のサンスクリット語からの日本語訳で2008年毎日出版文化賞を受賞されました。本物のインディペンデント研究者です!
 
何よりも、ゴータマ・シッタルダの「原始仏教」の記述に、本当に感動しました。読んでいてココロが洗われます。
 
インドで生まれた仏教は、魏晋南北朝時代に西域から中国に到達しました。
 
五胡十六国時代の仏図澄は、五胡十六国・後趙の皇帝、石勒(せきろく)を帰依させました。弟子に道安がいます。道安は前秦の苻堅(ふけん)を帰依させました。
 
西域僧、鳩摩羅什(くまらじゅう)は後秦に招かれ、翻訳事業を行います。この鳩摩羅什の漢語・中国語への翻訳は、サンスクリット語を踏まえた素晴らしいものでした。
 
 
しかし、インドのサンスクリット語から中国語に翻訳されて、ニュアンスが失われて、日本に輸入されると、全く異なる意味になりました。
 
多くの疑問が、この本を読むことで解けました。
 
道安と鳩摩羅什に学んだ東普の慧遠(えおん)と、北魏から北斉時代の曇鸞(どんらん)から中国・浄土教がはじまり、日本に多大な影響を与えました。曇鸞は、中国医学の陶弘景に学んでいます。
 
また、伝説では、魏晋南北朝・南朝の宋代に達磨がインドから来て、禅宗の開祖となります。東魏の『洛陽伽藍記』に達磨の最初の記述があります。浄土宗と禅宗という中国オリジナル仏教は魏晋南北朝の中国で生まれたのです。
 
インド→西域→中国→日本と伝言ゲームが続く中で、どのようにブッダの思想が伝えられたのかを知ることができて、本当に良かったです。
 

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