承淡安先生と澄江鍼灸学派

 
 
 
承淡安先生の門下、邱茂良先生は『中医針灸学の治法と処方―弁証と論治をつなぐ』の著者です。
 

 
邱茂良先生は、浙江省の張山雷が教務主任をつとめた蘭渓中医専門学校に1928年に入学しました。1933年に承淡安先生に学び、1956年に『内科鍼灸治療学』を出版されました。
 
1959年には鍼灸による肺結核の治療を報告し、1978年には鍼灸による胆石症と細菌性下痢の治療を報告します。
 
鍼灸による内科、臓腑病の治療を検証され、1962年に以下の論文を書かれています。
 
 
1962年「針灸療法と弁証施治」
针灸疗法与辨证施治
邱茂良《江苏中医药》 1962年05期
 
 
中西医結合の視点から、鍼灸による内科治療、臓腑病治療の研究をされたことが業績だと思います。
 
 
楊甲三先生は1935-1936年に承淡安先生にまなび、1957年に北京中医学院針灸科主任となりました。『腧穴学』の著者であり、経穴学の現代化が最大の業績だと思います。
 
 
程辛農先生は中医の家に生まれ、中華民国で医師となり、1957年には 北京中医药大学任针灸教研组组长となります。
1960年代に経絡現象の研究を行います。これは明らかに、1955年に承淡安先生が丸山昌朗先生の『経絡の研究』を翻訳された影響だと思います。王宏才先生は程辛農先生の弟子にあたりますが、穴性に否定的です。
 
 
1987年「伝統腧穴の効能と私的見解」
对传统腧穴功效之我见
王宏才 赵仓焕 《陕西中医》 1987年06期
 
関元(CV4)は培腎固本、調気回陽という効能をもっているといわれる。筆者は、この種類の一般化は不適切であるという見解をもっており、それは単なる事実の問題である
 
 
中国中医科学院教授、主任医師である王宏才先生は、上記の論文で、 腧穴は相方向の調節作用があるため、穴性は不適切な表現であると批判しました。
 
 
こうやってみると、邱茂良先生、楊甲三先生、程辛農先生は、中西医結合の側面と教育者という側面が強い印象です。
 
 
留章杰先生は鍼の手法が特徴です。
 
陳應龍先生は、気功にもとづく鍼の補瀉法です。
 
謝錫亮先生は、1953年に承淡安先生に学び、灸法が特徴的です。
 
承淡安先生の弟子、曽天治先生は、1937年の香港に科学鍼灸医学院を設立し、1944年に『科学鍼灸治療学』を出版しています。曽天治先生に学んだ蘇天祐先生が、1973年にアメリカでスティーブン・ローゼンブラット、アーニー・フリードマン、スティーブン・ブリーカーを教え、アメリカで最も古い鍼灸学校、ニューイングランド・スクール・オブ・アキュパンクチャー(New England School of Acupuncture)が設立されました。
 
 
 

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