複合性局所疼痛症候群の腹鍼

 
 
2021年12月16日イタリア、ピサ、麻酔および救急救命科
「青年期の複合性局所疼痛症候群(CRPS)の上肢の疼痛治療における身体鍼と腹鍼:症例報告」
Somatic and Abdominal Acupuncture for Pain Treatment in Adolescent Complex Regional Pain Syndrome (CRPS) of the Upper Limb: A Case Report
Giuliano Marchetti et al.Children (Basel). 2021 Dec 16;8(12):1187.
 
 
複合性局所疼痛症候群(CRPS:Complex regional pain syndrom)は昔、反射性交感神経ジストロフィーと呼ばれていました。13歳の若い女性で異痛症アロディニア、指の腫れと発汗があります。
 
初診時はオピオイド鎮痛薬、トラマドールが処方されましたが効果がなく、最初の2回の治療では身体鍼が使われました。
 
以下、引用。
 
左の陽池、外関、陽渓、腕骨が選ばれた。これらのツボは、中医学の寒と風により起こるという病理から選ばれた。
 
 
しかし、2回の身体鍼はまったく効果がなく、腹鍼が使われます。
 
腹鍼は、山西省の簿智雲先生が座骨神経痛患者の気海(CV6)や関元(CV4)に刺鍼して座骨神経痛が消失した経験から研究し、1992年頃に完成した新治療法です。 
 
最初は慢性疼痛に使われ、寝違い(落枕)、肩関節周囲炎、手根管症候群、膝痛、腰痛などに使われました。
 
生物全息理論にもとづき、顔面が中脘(CV12)、頸部が商曲(KI17:臍から上2寸。外0.5寸)から石関(KI18:臍から3寸。外0.5寸)、肩から上肢が滑肉門(ST24:臍から上1寸の胃経)から上風湿点(滑肉門の外0.5寸・上0.5寸)と上風湿外点(滑肉門外1寸)、下肢は外陵(ST26:臍の下1寸。外2寸)から下風湿点(気海の外2.5寸)、下風湿下点(石門の外3寸)で対応します。
 
 
以下、引用。
 
われわれは戦略の変更を決定した。ツボは、関元、中カン、中庭、ダン中、滑肉門と商曲である。鍼の深さは0.2寸挿入された。
 
【2.3結果】
2カ月で8回の腹鍼の治療後、疼痛は完全に消失し、NPRスケールはゼロとなった。少女は完全に手の機能を取り戻してノーマルな生活を取り戻した。
 
 
わたしも手鍼や耳鍼、頭鍼など多くのマイクロ鍼を使用しています。簿氏腹鍼も研究中です。 この症例は弁証論治の身体鍼に効果がなく、マイクロ鍼に変えた途端、治療が難しい複合性局所疼痛症候群に効果がありました。
 
イタリアで実際に麻酔科・救急で働いている医師たちも気づき始めているなというのが感想です。
 
 
複合性局所疼痛症候群(CRPS)Type 1に対する鍼灸治療
寺澤宏美, 山口智
埼玉医科大学東洋医学センター
医道の日本 73(3): 95-104, 2014
 
 
複合性局所疼痛症候群に対する鍼灸の1症例
向井雄高
三重大学病院 統合医療・鍼灸外来
医道の日本 77(6): 118-122, 2018.
 
 
在宅医療における中医学―CRPSの症例―
福岡豊永, 奥村江里
天空洞治療室
中医臨床 28(4): 582-586, 2007.
 
 
 

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