過敏性腸症候群(IBS)の鍼研究の2012年-2022年アップデート

 
 
2022年1月28日 ケリー・ボイル
『メディカル・ニュース・トゥデイ』
「鍼は『過敏性腸症候群(IBS)』を治療できるか」
Can acupuncture treat irritable bowel syndrome?
 
 
以下、引用。
2014年の比較試験のレビューは、鍼は過敏性腸症候群の症状の治療に効果的であると結論している。研究は鍼治療が腹痛、腹部膨満、腸の運動の不全感覚を和らげることを示している。
 
 
2014年 浙江中医薬大学
「過敏性腸症候群の鍼治療の効果:メタアナリシス」
Effectiveness of acupuncture to treat irritable bowel syndrome: A meta-analysis
Guan-Qun Chao and Shuo Zhang
World J Gastroenterol. 2014 Feb 21; 20(7): 1871–1877.
Published online 2014 Feb 21
 
 
以下、『メディカル・ニュース・トゥデイ』より引用。
 
2017年の研究は、鍼と西洋医学による過敏性腸症候群の下痢の治療を比較した。
2017年の研究結果は、鍼が西洋医薬よりも効果的であることを示した。鍼は腹痛、腹部膨満、下痢、便の異常に効果的である。
 
 
2017年12月 広州中医薬大学
「過敏性腸症候群の下痢の腹鍼の臨床効果」
Clinical effect of abdominal acupuncture for diarrhea irritable bowel syndrome
Yu Qin
Zhongguo Zhen Jiu. 2017 Dec 12;37(12):1265-8.
 
 
以下、 『メディカル・ニュース・トゥデイ』より引用。
もう一つの2020年の研究は、鍼と伝統薬、ポリエチレングリコールを比較している。この研究は、過敏性腸症候群の治療において薬品よりも鍼が効果的であることを発見した。
 
 
2020年8月『メイヨー・クリニック・プロシーディングス』
「過敏性腸症候群の患者への鍼の効果:ランダム化比較試験」
Effect of Acupuncture in Patients With Irritable Bowel Syndrome: A Randomized Controlled Trial
Lixia Pei
Mayo Clinic Proceedings
Volume 95, Issue 8, August 2020, Pages 1671-1683
 
 
 
【過敏性腸症候群の鍼の研究史】
2012年7月のアメリカ、メリーランド医科大学のエリック・マンハイマーによるコクラン・システマティックレビューでは、「ランダム化比較試験では真鍼と偽鍼の間で過敏性腸症候群の症状やQOLにおいて効果の違いは発見できなかった」と結論されました。
 
 
2012年コクランシステマティックレビュー「過敏性腸症候群の鍼」
Acupuncture for treatment of irritable bowel syndrome.
Manheimer E,et al.
Cochrane Database Syst Rev. 2012 May 16;5
 
 
しかし、2012年10月に発表されたイギリスのシステマティックレビューは画期的でした。
イギリスでの116人の患者を従来の治療プラス10回の鍼治療、117人の患者は従来の治療のみで3カ月後に比較したところ、鍼治療が統計的に有意に改善したと報告しています(+鍼治療49%、従来治療31%)。しかも、この利点は6ヵ月後、9ヵ月後、12ヵ月後も持続しました。
 
 
2012年10月イギリスのヒュー・マクファースンの研究
「過敏性腸症候群の鍼:プライマリケアに基づくプラグマティックなランダム化比較試験」
Acupuncture for irritable bowel syndrome: primary care based pragmatic randomised controlled trial.
MacPherson H,
BMC Gastroenterol. 2012 Oct 24;12:150.
 
 
過敏性腸症候群の基礎研究で、もっとも注目しているのが、灸が過敏性腸症候群ラットの腸内細菌叢や免疫系を変化させるという2018年の研究です。
 
 
2018年7月「灸治療は、硫酸デキストランナトリウムに誘発された腸炎ラットモデルの腸内細菌叢と免疫機能を調節する」
Moxibustion treatment modulates the gut microbiota and immune function in a dextran sulphate sodium-induced colitis rat model.
Qi Q,et al. World J Gastroenterol. 2018 Jul 28;24(28):3130-3144.
 
 
 
2018年12月「過敏性腸症候群ラットの腸内細菌叢は灸の刺激によって調節される」
Gut Microbiota Was Modulated by Moxibustion Stimulation in Rats With Irritable Bowel Syndrome
Xiaomei Wang
Chin Med . 2018 Dec 18;13:63.
 
 
 
2019年8月
「灸の効果はGDNF(グリア細胞由来神経栄養因子)とその大腸レセプターと脊髄神経を過敏性腸症候群ラットで調節する」
Effect of Moxibustion on the Expression of GDNF and Its Receptor GFRα3 in the Colon and Spinal Cord of Rats With Irritable Bowel Syndrome
Qin Qi et al.
Acupunct Med . 2019 Aug;37(4):244-251.
 
 
研究は、鍼灸が腸機能と内臓過敏症を緩和し、異常なセロトニン、TRPV1、ヒートショックたんぱく70の調節を通じて、その治療効果をあらわすことを示している。
 
 
2020年6月12日
「電気鍼療法は視床内側核と前帯状皮質の星状細胞アストロサイトの活性化を阻害することにより、IBS内臓過敏性過敏性腸症候群を改善する」
Electroacupuncture Improves IBS Visceral Hypersensitivity by Inhibiting the Activation of Astrocytes in the Medial Thalamus and Anterior Cingulate Cortex
Min Zhao et al.
Evid Based Complement Alternat Med. 2020; 2020: 2562979.
Published online 2020 Jun 12
 
 
 
2020年12月15日
「下痢型過敏性腸症候群における鍼効果の脳機能的相互作用」
Brain Functional Interaction of Acupuncture Effects in Diarrhea-Dominant Irritable Bowel Syndrome
Kai Ma et al.
Front Neurosci. 2020; 14: 608688.
Published online 2020 Dec 15.
 
 
2021年11月17日
「生姜灸、温灸、レーザー灸におけるIBS-Dラットへの影響の比較研究」
A Comparison Study of the Effect on IBS-D Rats among Ginger-Partitioned Moxibustion, Mild Moxibustion, and Laser Moxibustion
Chao Sun et al.
Evid Based Complement Alternat Med. 2021; 2021: 4296216.
Published online 2021 Nov 17.
 
「灸はツボのTRPV1チャネルを活性化し、ツボの機能を誘発し、それが次に結腸のTRPV1の病理学的活性化状態を阻害し、続いて腹痛、下痢症状を改善する可能性がある。
 
 
 
 

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