『韓医学標準診療ガイドライン』

 
 
2022年4月25日韓国『NSP通信』
「韓国韓医薬振興院が新規に『韓医標準臨床診療指針』を3種類、出版する」
 
 
以下、引用。
 
過敏性腸症候群
骨粗しょう症
小児・青少年成長障害
 
 
以上の3種類だそうです。
 
韓国は10年間で50種類の『韓医学標準ガイドライン』を出版する計画だそうです。
 
過敏性腸症候群は東洋医学の得意分野だと思いますが、骨粗鬆症はかなり踏み込んでいる印象があります。
 
日本では、漢方で温経湯と当帰芍薬散による動物実験で骨密度を論じた論文があります。
しかし、日本語の『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版』には、西洋薬しか入っていません。

 
2014年のコクラン・システマティックレビュー「骨粗しょう症の漢方薬(Chinese herbal medicines for treating osteoporosis)」では「効果が不確かである」とされています。
 
韓国でどのような骨粗しょう症の韓医学治療が行われているか興味があり、韓国人の研究会参加者の先生に訳してもらったら、韓方処方と舎岩鍼法が掲載されていました。
小児・青少年の成長障害も、どのようなエビデンスがあるのか知りたいところです。
 
 
中国伝統医学には「立遅・行遅・歯遅・髪遅・語遅」の五遅と「頭軟・項軟・口軟・手足軟・肌肉軟」の五軟が存在しますが、現代医学のように低身長は治療対象にしていないと思います。
 
低身長について、日本の小児科ではいつから治療対象としているのでしょうか。遺伝子組み換えヒト成長ホルモン(rhGH)注射の安全性や成人後の健康調査、倫理的問題は大丈夫なのでしょうか。全く知らないので、知りたいです。特に、子どもが対象だけに倫理面が気になります。
 
 
中国では、けっこう低身長を治療対象としているようで、鍼やツボ療法も使われています。
 
 
2021年浙江省・中西医結合病院・小児科
「ツボへの漢方薬貼布による低身長小児の骨年齢への影響」
Influence and Effect of Acupoint Application of Chinese Medicine on Height and Bone Age of Children with Short Stature
Weiqun Wang et al.
Evid Based Complement Alternat Med. 2021; 2021: 7459593.
Published online 2021 Oct 29.
 
 
2022年韓国韓医研究院
「東アジア伝統医学における特発性低身長小児の効果の比較:システマティックレビューとメタアナリシス」
Comparative effectiveness of East Asian traditional medicine for treatment of idiopathic short stature in children: Systematic review and network meta-analysis
Boram Lee et al.
Integr Med Res. 2022 Jun; 11(2): 100832.
Published online 2022 Jan 5.
 
※「(特発性低身長の東洋医学治療の)すべての研究は中国で出版され、11の2アーム研究と、2つの3アーム研究、1つの4アーム研究から成り立つ。
 
 
なんと、韓国韓医研究院のシステマティックレビューでは、中国で出版された研究をレビュー・メタアナリシスして結論を導き、しかもそれを政策に反映させています。
韓国韓医研究院のやり方は、サバイバルのためのインテリジェンスだとリスペクトしています。わたしも情報収集とインテリジェンス分析は韓国韓医研究院のスタイルを真似していこうと思います。
 

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