栄培晶先生の耳介鍼研究

中国式耳鍼の第1人者、栄培晶先生がテーマにされているのは、耳穴のマッピング、
デフォルト・モード・ネットワーク、得気、耳介迷走神経刺激、fМRIによる脳の観察です。

研究されてきた疾患は、てんかんが研究の初期です。これは、2000年にカナダの医学者、ヴェンチュレイラが耳介経皮性迷走神経刺激によるてんかん治療を提唱したことに由来します。

2000年
「てんかん治療のための経皮的迷走神経刺激：新しいコンセプト」
Transcutaneous vagus nerve stimulation for partial onset seizure therapy. A new concept.
Ventureyra EC.　　
Childs Nerv Syst. 2000 Feb;16(2):101-2.

2012年　荣培晶、ゲルハルト・リッシャー
「耳穴は副交感神経の活性化を通じててんかんを抑制するかもしれない」
Auricular Acupuncture May Suppress Epileptic Seizures via Activating the Parasympathetic Nervous System: A Hypothesis Based on Innovative Methods
荣培晶(Pei-Jing Rong) and Gerhard Litscher
Evid Based Complement Alternat Med. 2012; 2012: 615476.
Published online 2012 Feb 1.

2015年　『中国鍼灸』
「てんかんの耳鍼治療の研究の現状と展望」
癫痫的耳针治疗研究现状与展望
荣培晶 et al.
中国针灸, 2015, (08): 861-864.

てんかんを皮切りに、耳介療法によるうつ病、糖尿病、機能性胃腸症、不眠症などを栄培晶先生は研究されてきました。

鍼で得気すると、脳でデフォルト・モード・ネットワークが作動します。個人的な考えでは、これこそが耳鍼の効果の秘密の一つです。以下の研究は、耳介鍼によるうつ病治療のために行われました。

2013年「耳穴の経皮的電気刺激における『得気』」
Deqi Sensations of Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation on Auricular Points
Pei-Jing Rong(栄培晶) et al.
Evid Based Complement Alternat Med. 2013; 2013: 371543.
Published online 2013 Jul 10.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23935663/

また、耳介の迷走神経刺激は視床下部ー副腎軸を通じて、うつ病様行動ラットの機能性胃腸症を改善します。迷走神経を介した炎症の改善です。

2022年1月22日
「耳介迷走神経刺激はラットモデルでの視床下部ー副腎軸を介してうつ病様行動ラットの機能性胃腸症を改善する」
Auricular Vagus Nerve Stimulation Ameliorates Functional Dyspepsia with Depressive-Like Behavior and Inhibits the Hypothalamus-Pituitary-Adrenal Axis in a Rat Model
Pei-Jing Rong(栄培晶) et al.
Dig Dis Sci. 2022 Jan 22.

MRIを使った研究です。

2014年6月
「経皮電気鍼による刺激は正常人の迷走神経機能を刺激するMRI脳研究」
经皮电针刺激正常人耳甲迷走神经的功能MRI脑效应研究
荣培晶
磁共振成像 2014年06期
(全文オープンアクセス)

栄培晶先生は中国でもっとも耳穴マッピングに詳しい研究者です。

2016年3月31日　中国中医科学院鍼灸研究所
栄培晶
「国際耳介鍼穴のロケーション・メソッドの長所と短所の分析」
Analysis of Advantages and Disadvantages of the Location Methods of International Auricular Acupuncture Points
Pei-Jing Rong(栄培晶) et al.
Evid Based Complement Alternat Med. 2016; 2016: 2806424.
Published online 2016 Mar 31.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4830725/