ワクチン後の左肩から手の痛みと脱力感

パーソネイジ・ターナー症候群と神経痛性筋委縮症、腕神経叢炎

2022年4月22日『フィジカル医学とリハビリテーション』
ラトガース医科大学、ニコール・ディアズ・セガーラ
「コビット19ワクチン後の疼痛なき特発性神経痛性筋萎縮症:症例報告」
Painless idiopathic neuralgic amyotrophy after COVID-19 vaccination: A case report
Nicole Diaz-Segarra MD
PM&R
First published: 22 April 2021
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/pmrj.12619

アメリカ、ラトガース医科大学で、35歳女性のコビット19ワクチン後の左三角筋、棘上筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、長橈側手伸筋、総指伸筋の筋力低下や腱反射の減弱などが神経痛性筋萎縮症として報告されています。

実は2022年4月1日にフランス国立医薬品健康製品安全庁(ANSM)の報告が出て、43例ものファイザー・ワクチン後のパーソネイジ・ターナー症候群が報告されています。これはフランス政府の公式報告で、フランス語圏ではかなり大きなニュースになっており、驚きました。

イギリスの軍医、モーリス・パーソネイジとジョン・ターナーが第2次世界大戦の頃、『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』や『ランセット』に多くの症例を発表したことから命名されました。
 

パーソネイジ・ターナー症候群、神経痛性筋委縮症、腕神経叢炎は同じ病気の別名であり、症状として疼痛は強く、肩にはじまるのを特徴とし、僧帽筋上縁、肩甲棘部、三角筋などに疼痛が起こり、おさまった後に筋萎縮が起こります。これは鍼灸の臨床にも来院する可能性があると感じました。

「神経痛性筋萎縮症の臨床像とMRI所見」
福島 和広『臨床神経学』2014 年 54 巻 12 号 p. 1053-1055
(オープンアクセス)

「腕神経叢炎の病態と治療」
池田 修一『臨床神経学』2013 年 53 巻 11 号 p. 969-973
(オープンアクセス)

日本語では、以上が無料で読むことができます。
英語では、以下の『スタットパールズ』は無料オープンアクセスで、アップデートされた最新情報を読むことができます。

2022年1月20日『スタットパールズ』
「腕神経叢炎」
Brachial Neuritis
Yasir Al Khalili; Sameer Jain; Jason C. Lam; Alexei DeCastro.
StatPearls
Last Update: January 20, 2022.

【治療/マネージメント】
神経痛性筋委縮症(腕神経叢炎)の特定の治療法は存在しない。
急性期には鍼と経皮的電気刺激を試すことができる。

なんと、欧米でも神経痛性筋委縮症(腕神経叢炎)の治療法は存在せず、リハビリとしてマッサージや鍼灸、電気治療が使われています。
ワクチン接種後の肩から腕の疼痛や脱力感の症状があるパーソネイジ・ターナー症候群、神経痛性筋委縮症、腕神経叢炎の概念について、鍼灸師は知っておいたほうが良いです。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/pmrj.12619

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