「中医学の古典を生かす」

2022年8月8日
「中医学の古典を生かす」
中医古籍怎样“活”起来
https://reader.gmw.cn/2022-08/08/content_35939448.htm

南宋代、新安出身の張杲著『医説』や、明代、呉崑の『黄帝内経素問呉注』などは、中国・安徽省の「新安医学」の代表です。

安徽省中医薬大学図書館の先生方によれば、古い中医学古典の修復技術を持つ専門家を育てるには5年以上のトレーニングが必要なようです。

新安では、中医学古典の30パーセントをすでにデジタル化しているそうです。

清代、程国彭著『医学心悟』には、PTSDの処方として安神定志丸を用いているそうです。これは、知りませんでした。

新安医学といえば、明代、孫一奎著、『赤水玄珠』です。

昨年度は明代医学を研究していて、命門学説をめぐる論争を研究しているうちに少し古典研究から距離をおこうと思いました。

元末・明初の王履著『医経溯洄集』が金元四大家の理論から独自の命門や相火の理論を展開します。

明代は明代、王綸著『明医雑著』に薛己が注釈で命門を論じています。

薛己はさらに『内科摘要』で命門火衰を論じ、さらに明代の李梃著『医学入門』も命門を論じています。

歴史的には『難経』で「左は腎であり、右は命門である」という記述があります。

《难经·三十六难》:“肾两者,非皆肾也,其左者为肾,右者为命门

しかし、明代、虞搏は『医学正伝』で「(左右の)両腎の総称が命門である」という説を唱えました。

『黄帝内経』は心包絡を臓としており、三焦は六臓六腑に配合して、総じて十二経となっており、左右の両腎は一つの臓であり、初めに秦越人扁鵲が『難経』で左右に分けたが、まだ命門が相火の臓であることは述べていなかった。『脈経』の王叔和は三焦と命門が表裏しているという学説を始めたが、その意味は深遠である。命門は五行の水の臓であるが、その実質は相火のあるところである。その意味は、左(腎)は陰で、右(命門)は陽に属する。左(腎)は血で、右(命門)は気に属する。左(腎)は水に属し、右(命門)は火に属する。静守は常に水が主り、動じて変ずるのは火である。相火はもとより形がなく、上は肝胆包絡の間に寄り、発すればすなわち龍火が飛ぶが如く、雷のようである。下は左右の両腎の内であり、発すれば龍火が海湖の波濤で舞うがごとくである。

ここから、孫一奎、張介賓、趙献可ら明代の医家は、命門学説について激論を繰り返します。

明代、孫一奎著『赤水玄珠』は命門を「腎間の動気」として論じました。

明代、趙献可は『医貫』で命門学説をさらに研究しますが、清代・徐霊胎の1764年『医貫砭』で痛烈に批判されます。

これらの命門学説は、日本伝統医学の学説史を研究する際に非常に重要なのですが、薛あたりから五臓六腑中心の臓腑弁証の要素が強くなり、少し距離を置いてから研究しようと考えました。

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