エンドカンノビノイドと鍼

2021年2月18日イオナ・マクドナルド
「電気鍼の鎮痛にはたらくエンドカンノビノイド・システム」
The Endocannabinoid System Contributes to Electroacupuncture Analgesia
Iona J MacDonald , Yi-Hung Chen
Front Neurosci. 2021 Feb 18;
https://www.frontiersin.org/…/10.3389/fnins.2020.594219/full

先日、患者さんからCBDオイルについて質問されました。

2022年9月29日に厚生労働省大麻規制小委員会が医療用大麻解禁の方向性を打ち出したことも話題になりました。鍼灸の治効機序でもエンドカンノビノイド・システムが関連しています。

1980年代にカンナビノイド受容体が発見され、1993年にカンナビノイド受容体タイプ2が発見されました。 

2012年にワシントン州とコロラド州で大麻が合法化され、2018年に栽培が合法化され、2020年に米国でグリーン・ラッシュといわれる大麻ビジネスブームが起こります。2022年にはタイで大麻合法化によるグリーン・ラッシュが起こりました。

1990年代から2000年代の科学的研究の進展が大きな影響を与えたようです。

日本が医療用大麻やカンナビノイド研究で大きく世界に遅れたのは、法律問題=政治問題が大きいです。

個人的には、あはき法の欠格事由に「麻薬、大麻若しくはあへん」という文言が存在する間は、大麻には絶対に近寄らないと決めています。

しかし、サイエンスによる鍼の治効機序の研究はまったく別の話です。特に鎮痛については、中脳水道周囲灰白質におけるオレキシンとのかかわりが重要だと思います。オレキシンは食欲とも関連します。

以下、引用。

中脳水道周囲灰白質におけるカンナビノイド受容体タイプ1は抗侵害効果における電気鍼の鎮痛に重要である。

末梢の組織におけるカンナビノイド受容体タイプ2(CB2)は鍼の抗炎症効果を媒介する。

カンナビノイド受容体は、海馬における記憶形成やアストロサイト、炎症性腸疾患、肥満細胞と炎症などに関係しており、これはまさに鍼研究におけるホットスポットです。

カンナビノイド受容体とエンドカンナビノイド・システムを学習することは、そのまま鍼の治効機序の解明につながりそうです。

「エンドカンナビノイドによる生体防御とその破綻」
丸山 征郎
『日本集中治療医学会雑誌』2004 年 11 巻 2 号 p. 83-85

「恐怖記憶の消去を司るエンドカンナビノイド : PTSD治療への可能性」
縄田 陽子
『ファルマシア』2010 年 46 巻 9 号 p. 895-896

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