『Tehamo 13号 嚥下障害へのアプローチ・『あとはとき』のつみのこし』
『鍼灸OSAKA』の後継誌『Tehamo』と『あとはとき』は休刊となります。
むかし、『鍼灸OSAKA』のバックナンバーをまとめて全部、購入したことがあります。かなり高額でしたが、それ以来、経済的余裕のある方には「卒後、『鍼灸OSAKA』のバックナンバーを手に入れたら、臨床で困ったときに調べるコストが節約できる」とお伝えしてきました。
わたしは、2019年『鍼灸OSAKA』134号に「熱敏灸の意義と効果」、2022年『Tehamo』4号に「耳鍼はサイエンス」などを書かせていただきました。わたし自身が後進の方に「卒後、一番役に立つのは『鍼灸OSAKA』バックナンバーです。流派が多様で、症例が多く載っているのが良いです」と推奨してきただけに、このたびの休刊は非常に残念です。今は、昔はあった「バックナンバーまとめ買い」もできなくなっているようです。鍼灸の良書は古本屋さんにありますが、古書店というシステムもいつまで続くか疑問です。
日本の教育は「公立学校」と「塾」の二本立てシステムになっています。これは鍼灸も同様で、フォーマルな「国家試験の予備校である鍼灸学校」とインフォーマルな「流派の私塾」の二本立てです。しかし、私塾的な後継者への技術伝承も、2019年末以降のコロナ禍で衰退している印象があります。
2020年7月には1938年創刊で、82年続いた鍼灸雑誌である『医道の日本』が休刊となりました。そして、2026年3月に『鍼灸OSAKA』の後継誌である『Tehamo』が休刊となりました。『鍼灸OSAKA』は1985年に創刊されていますから、実質41年間も続き、内容も良質で、とても勉強になりました。現代日本の鍼灸の歴史において、この二誌の休刊は間違いなく重大トピックスとなります。
今後の鍼灸業界の大きな課題は「いかに後進に技術を継承するか」になると予測します。
私自身は、2010年くらいから中国のCNKIデータベースと米国立衛生研究所NIHのPubmedデータベースを使って、中国語圏と英語圏の鍼灸研究を学んできました。2000年代半ばから2010年代半ばくらいまで、中国語圏も英語圏もほとんどの論文が無料のPDFで入手できる環境でしたので、勉強のコストが劇的に下がりました。
2010年に中国からGoogleが撤退して、百度やWeChatなどの中国語SNSが発達し、ロシアでもVKなどのロシア語SNSが発達し、スプリンター・ネット(分割ネット)の時代となります。長年、中国語圏とロシア語圏の鍼灸研究を調べてきましたが、第1次トランプ政権成立からの米中新冷戦、ロシアのウクライナ侵攻とコロナ禍以降、良質な情報が入手できなくなりました。わたしは2019年までに中医学の鍼灸弁証論治の歴史の解明にエネルギーを割いており、この神戸東洋医学研究会のFACEBOOK記事に残しています。これは時代的にラッキーでした。
2025年1月からの第2次トランプ政権はNIHの予算を削減させる方針で、NCCIHアメリカ国立補完統合衛生センターのヘレン・ランジュバン先生は2025年11月30日で退任しましたが、いまだに後任の所長は決まっていません。2025年4月、トランプ政権はNCCIHアメリカ国立補完統合衛生センターの予算をゼロにして廃止することを提案していましたが、現状維持となったようです。しかし、2026年度予算がどうなるのかは誰にもわかりません。
2025年4月FABBS News
HHS Budget Leaked, Includes NIH Reorganization
ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏が保健福祉省(HHS)長官に就任したことを受けて、国立衛生研究所(NIH)を含む連邦政府の保健機関は、職員のレイオフや、新政権の価値観に沿わない特定の研究プログラムや助成金の打ち切り指示によって大きな打撃を受けている。
保健福祉省の2026年度予算案が、先週報道機関にリークされた。この文書は、トランプ政権による連邦保健機関に対する計画の詳細を初めて明らかにするものである。
OMB草案にはNIHの大幅な再編も含まれており、研究所・センターの数を27から8に削減する。OMBは4つのIC、すなわち国立看護研究所、国立少数民族保健・健康格差研究所、フォガティ国際センター、補完統合衛生センターを完全に廃止することを提案している。
1991年にゴードン・ガイアットが「エビデンス・ベースド・メディスン」を提唱し、1992年にコクラン共同計画がスタートします。1997年にアメリカ政府NIHがEBMの考え方から「鍼の効果には科学的根拠がある」と声明を出して、鍼灸の世界は激変してきました。1998年、NIH内にアメリカ国立補完代替医療センターNCCAMができて、鍼の研究を始めました。このEBMにもとづくNCCAMから改称されたアメリカ国立補完統合衛生センター(NCCIH)は世界の統合医療の研究の中心でした。2026年にNCCIHが廃止されるなら、1991年から35年続いたEBMに基づく鍼灸分野の変化は影響を受けざるを得ないと予測しています。
Many thanks to miz@ for a beautiful featured image!


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