2026年5月1日 英経済専門誌『エコノミスト(The Economist)』
Does acupuncture work?:It seems useful for pain. The jury’s out on everything else
「鍼は効果があるか?:痛みには効果があるようだ。それ以外は、まだ結論が出ていない」
以下、引用。
(疼痛)という一部の分野では、鍼治療の有効性を示す強力なエビデンスが存在する。2018年に『Journal of Pain』誌に掲載された研究では、肩の痛み、慢性的な筋骨格系の痛み、頭痛、または変形性関節症の患者20,827人を対象とした39件の無作為化比較試験が分析された。
初回治療から4週間以上経過後に症状を評価したところ、鍼治療を受けた患者は他のグループよりも痛みのレベルが低いと報告した。1年後もその効果はわずかに低下しただけだった。
その後、他の研究でもこれらの知見が裏付けられている。しかし、鍼治療はどのようにして鎮痛効果を生み出すのか。米国立衛生研究所(NIH)の国立補完統合医療センター元所長であるヘレン・ランジュバンは、ある仮説を提唱している。彼女の研究によると、鍼がファシアと呼ばれる結合組織をねじり、その際に神経終末に作用することで痛みが軽減される可能性がある。
『エコノミスト』の記事の通り、肩痛、慢性筋骨格痛、頭痛、変形性関節症の疼痛軽減には確実に効果があり、ヘレン・ランジュバン教授のように、その鎮痛のメカニズムはファシアによるものと考える人が増えています。保守的な見解の同誌ですが、サイエンスにおいても確実なことだけを記している印象です。
以下、引用。
疼痛管理以外の分野では、その効果に関するエビデンスはそれほど明確ではない。2022年に『Complementary Therapies in Medicine』誌に掲載されたレビュー(鍼灸師が執筆し、国際中医学会が資金提供)では、862件のシステマティックレビューが分析された。その結果、術後の嘔吐に鍼治療は一部の制吐剤と同等の効果があることがわかった。また、片頭痛や緊張型頭痛、がん関連疲労、女性の不妊症、男性の慢性骨盤痛にも効果があることが示された。
疼痛以外では、術後の嘔吐、がん関連疲労、女性の不妊症、男性の慢性骨盤痛にも効果があるというのも、非常に保守的な見解です。ドイツでは腰痛、変形性ひざ関節症に鍼の医療保険が使えます。アメリカでは腰痛の鍼に公的医療保険が使えます。イタリアでは片頭痛と腰痛への鍼の使用を政府が推奨しています。
国際的には、「鍼は痛みに対して効果的であるというエビデンスがある」ことは、最も保守的な立場でも常識になっていると思います。『エコノミスト』のようなお堅い雑誌が「ファシアによる鎮痛メカニズム」を一般読者向けに書いているのに、日本では鍼灸教育の教科書にさえ載っていないというのは、かなり問題があると感じました。
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